2/10
小田急線急行新宿行きは思いの外混雑していたが、なんとか座席を確保して爆睡状態に陥る。
165系の嬬恋・万座スキー号はがらがらだと予想したが、自由席、指定席ともそこそこの乗車率である。
スノーボードの若者グループが乗り間違えて我々の座席を占拠していたが、間違いに気づき移動していった。
それにしてもスノーボードは場所をとる。スキー板は荷物棚の下に金具でぶら下げられるが、
スノーボードは一個ずつ荷物棚に置いてしまうと非常に邪魔である。
トイレや洗面所をつぶして荷物置き場が設けられてあったが、そこにはスノーボードは置いていなかった。
車内アナウンスで「スノーボードは荷物置き場に置くように」との指示を徹底してもらいたいものだ。
埼京線内ではゆったりと走っていたが、大宮を過ぎた頃から快速らしい俊足ぶりを発揮し始める。
指定席もほぼ満席になったが、我々の隣りには誰も来なかったので、足を伸ばしてボックスシートを満喫する。
実は来月大分・熊本の温泉巡りを計画しており、車中でガイドブックや地図などでルートの検討を重ねた。
いつも思うことなのだが、旅行というのは計画している時が一番楽しい。
今は手軽にインターネットで情報を得ることが出来、ガイドブックはそういった情報を再確認するに過ぎない。
やはりインターネット上の実際の体験に基づいた情報は貴重である。
そういった情報を複合的に参考にしながら、自分好みの泉質、湯温、雰囲気の温泉を探し出すのは楽しい。
しかし実際に行ってみないことには本当の所は分からないことが多いのだが・・・
高崎を過ぎると指定席車両も若干空いて来て、窓外には赤城山や榛名山がばっちり見えて来る。
吾妻線内に入ってますますローカル色豊かな光景が展開している。
川原湯温泉駅で運転停車し、あと何年この光景が見られるだろうかと感慨に浸る。
現在首都圏の水甕として八ツ場ダムが建設中であり、完成すれば川原湯温泉は水没の運命が待っている。
代替の温泉も見つかっているそうで、補償金目当ての土産物屋も出現していると聞く。
個人的には気に入っている温泉なので、水没前には是非一度行っておきたい。
長野原草津口の改札を抜けると、大滝乃湯と西の河原露天風呂のいずれかで使える無料券を配布していた。
温泉を中心とした町興しという点で、草津町は全国的に見ても特に秀でていると思われる。
新宿発の高速バス、新宿発吾妻線直通の臨時快速の運行など有効な手を打っている。
最近は町内に100円均一の循環バスを走らせるなど、ますます好感が持てる。
昨年春から本格的に草津温泉外湯巡りを始め、今回は18湯全湯制覇を狙っている。
一回あたりの入浴時間を極限まで短くし、多くの外湯を回ろうという寸法だ。
まずバスターミナルから近い今回の宿松乃井旅館に立ち寄り、荷物を預けてから外湯巡りに出発。
まず最寄りの白嶺の湯へ向かう。
午前中入浴客があまりいないので湯が絞ってあったせいか温い。
この界隈は路地が大変入り組んでいて、小規模旅館がひしめいて独特な雰囲気を作り上げている。
場所的には喜美の湯の次に見つけにくい外湯と言える。今回の食のテーマは肉である。昼食は国道沿いのASPENでイタリア風ハンバーグをいただく。
ハンバーグの上にチーズがたっぷりかかっているが、味は意外とあっさりとしている。
草月で菊の花という素甘(5個400円)をおやつ用に買う。
ここは和菓子や、変り種饅頭で有名である。
再び外湯巡りを再開する。
恵の湯は以前混んでいると思って断念した外湯だ。
入り口が狭いので、てっきり小さな外湯だと思ったのだが、脱衣所、浴室ともに意外に広い。
浴室は窓が小さく薄暗く陰気な感じ。浴室の床はすべり止めの凹凸がついており、浴槽はコンクリート製で
深さは浅め、湯温は温め。つつじ亭さんから寄付された新しいおけといすが印象に残った。
次はこぶしの湯へ向かう。
ここは坪庭が併設されているので今回非常に期待していた外湯なのだが、
一部のマナーの悪い客によって打ち砕かれてしまった。男湯女湯とも子供が入っている様子で、
坪庭に向かってお湯を撒き散らしている音がして垣根の外まで水が流れている。
しばらく待ってみたものの、一向に出て来る気配がないので諦めて入る。最初は男の子だけだったが、
しばらくすると女湯に入っていた女の子が父親と思しき人物と一緒に入って来て、外湯で混浴を体験する。
水の出ているホースで遊んだり、10円玉を洗面器に入れて遊んだり、男の子が浴室と脱衣所を行ったり来たり
実に落ち着かない雰囲気である。ゆっくりなんてしていられやしない。
もう一組親子が入ってきたのを潮時に引き上げる。脱衣所の注意書きに「一部マナーの悪い入浴客がいる」
といういたずら書きがあったが、全くその通りであったのは残念なことである。
天狗山の方に雲がかかってきたので、ひと雪来るなと思ったらしばらくして本格的に降ってきた。
以前宿泊した時に記念撮影をしそびれた日新館で記念写真のリベンジを果たす。
おまけにケロリン桶までお土産に貰ってしまい、かえって恐縮してしまう。
機嫌を取り戻した所で、今回の肉グルメの本命湯畑前の焼き鳥静でひな皮と軟骨をオーダーする。
隣りの焼肉屋でも静より安く売っているが、静は長蛇の列である。
それぞれ3本セットで400円と少々高い気がしたが、一口食べてそんな思いは吹っ飛んでしまった。
肉の歯ごたえ、ほど良い塩味、備長炭で丁寧に焼き上げた焼き鳥はかつて経験したことのない美味しさだ。
湯畑の周りではビール片手に焼き鳥を頬張っている光景があちこちで展開されている。
松乃井旅館は1泊2食8千円ということと、未湯の白嶺、瑠璃に近いので選んだ。
HP予約特典?ということで地元の「草津わいん」の赤と白を一本ずついただく。
草月で求めた素甘を食べ、横になったら寝てしまった。宿の内湯で頭と体を洗った後、関の湯へ向かう。
入り口が大変狭い為今まで入湯を躊躇していたが、狙い通り貸し切り状態であった。
脱衣所には常連さんのタオルが所狭しと干してあり、何やら家庭の風呂にお邪魔した感じだ。
浴槽はこじんまりしているが、ここが外湯とは思えないくらい不思議と落ち着く空間である。
男湯と女湯の表示が分かりづらく、ハイカットの靴を脱ぐと、入り口の戸の開閉が困難になるのが難点だ。
宿に戻り、夕食をいただく。家庭的なおふくろの味といった感じであった。
2/11
今朝は朝食前に未湯の瑠璃の湯へ向かう。予想に反して二人の先客がいるので次の機会を待つことにする。
白旗の湯も混雑していたので、西の河原通りへ向かう。長寿庵の前の建物が無くなっているのを見て、
びっくりして佇んでいると、早朝から営業している長寿庵のおじさんの饅頭攻めの洗礼を受ける。
凪の湯は風情の点では草津外湯のベスト3に入れているが、清掃の行き届いていないのが気になる。
入り口の清掃は相変わらずだったが、脱衣所は今回は綺麗に清掃されていた。
入り口にはほうきとちりとりが置いてあったので、次回からは清掃してから入らせて貰おうと心に決める。
浴槽から壁面、床に至るまで木造りで、しみじみと朝湯を楽しむのには一押しの外湯である。
瑠璃の湯は幸いにも貸し切り状態で、浴室の撮影の為窓を開けると大きなつららがにょきにょき出ていた。
浴槽は変形した五角形で、小ぶりなせいか湯は熱めに感じた。窓を開けたままつららを眺めながら入浴をした。
車の往来が多い通りにありながら意外と目立たない存在で、圧倒的に地元の方の利用が目立つ外湯だ。
脱衣所には清掃費を協賛していただいている方々の名前が掲げられており、綺麗に清掃されている外湯に
無料で利用させていただいているという幸せを改めて実感させられて身が引き締まる思いがした。
昨日長野原草津口駅で貰った無料券を利用すべく大滝乃湯へ向かう。
入湯料は800円なので貧乏性の我々には助かる。
源泉は近くの煮川であり、泉質は折り紙付きだ。
内湯は広々としているが、泉質、雰囲気共に露天の方が断然良い。
露天は煮川では想像できない程湯の花成分が大量に含まれており、かなり白濁している。
湯は垂直な壁を伝って自然に冷却されて露天風呂に注がれており、視覚的にも面白い造りで気に入った。
後で気がついたのだが、男湯の方からは下にある「あわせ湯」へ直接階段を降りて行ける。
女湯の方からは直接行けないので、一旦着替えてから行くしか方法はない。
あわせ湯は湯温の異なる浴槽がいくつか有り、湯温の低い浴槽から高い浴槽に浸かっていく浴法である。
中央に湯温の最も高い浴槽があり、注ぎ込む湯量で温度差を生み出している模様である。
二番目に熱い浴槽で熱の湯直伝?の湯もみを敢行するもあまり効果はなく、肩まで浸かって30秒くらい、
一番熱い浴槽に至っては足湯のみのトライで20秒くらいが自分としては限界であった。
個人的には一番温い細長い浴槽が気に入ったのだが、その温度差はぜひ体験することをお薦めする。
一番熱い浴槽に注ぎ込む熱い湯を頭からかぶっている猛者には驚きを通り過ぎて尊敬さえ感じた。
浴後にハンバーグで有名などんぐりへ向かうが、観光客で長蛇の列が出来ていたので断念する。
長寿の湯の位置を確認しつつ、西の河原通りで昼食処を探す。
極楽館併設のカフェレストランNeue Postに入ってみることにする。
メニューにビーフシチューやビーフカレーがあり、肉グルメを続行することが出来た。
自分はビーフカレーと生ビール、妻はハウスサンドとジュースのセットをオーダーする。
ビーフカレーはビーフシチューに限りなく近い味で柔らかい肉が印象的だった。
ハウスサンドはハム、ピクルス、レタスが入っており、マスタードとマヨネーズで味付けされている。
見かけ以上にボリュームがあり、ちょっとしたランチにはお薦めの逸品である。
国道沿いの運動茶屋バス停近くの躑躅の湯へ向かう。
実は昨年三月帰草の折りに一度探したが、国道の真下にある為死角になっており意外と見つけにくい。
ここまで来れば観光客は皆無である。浴室、浴槽とも大きく、グリーンに塗られており、窓が大きくとられている。
全体的に明るい雰囲気の外湯である。湯温は浴槽が大きい為それほど熱くなかった。
全湯制覇まで二湯となり、名前的に長寿の湯を結願の湯とする。
町営住宅の湯は区民会館事務所に併設されており、近在の住民が入れ替わり入って来る。
湯温はさほど熱くないが、面白いのは上がり湯があり、そこの湯温の方が感じられた。
皆シャンプーを持ちこんで一斉に頭を洗うのには驚いた。頭や体を洗うことを認められているのだろうか?
洗い場が広く、まるで町の銭湯のイメージに似た変わった外湯である。
いよいよ結願の長寿の湯である。
事前に場所を確認していたにもかかわらず、酒屋の横にある為通り過ぎてしまったほど地味な外湯だ。
清掃は完璧に行き届いており、特筆すべきは浴室の床にすのこが敷いてある点だ。
冬場はコンクリートよりも木の方が温かくて、見た目も風情があってよろしい。
浴槽はコンクリート製だが温泉の析出物で実に渋い感じになっている。
ここは場所的にも浴槽の感じといい、草津外湯きっての秘湯の位置付けられよう。
湯温はやや熱めで、長湯はできないが非常に好印象の外湯であった。
全湯制覇を祝して西の河原通りの土屋酒店で日本酒、ビール、つまみを求めて旅館にて祝杯をあげる。
夕食は部屋食で内容もグレードアップしていてまずまずだった。
夕食後は湯畑下のぐーてらいぜでカプチーノをいただく。シナモンスティックがついてきて本格的だった。
地蔵の湯へ向かうが大混雑だったので、煮川の湯へ向かう。
予想に反してこちらは空いていた。湯温は入浴客が多かったせいかそれほど熱く感じなかった。
今回初めて源泉の外湯に入湯を果たす。やはり源泉のフレッシュなお湯は気持ちいいものだ。
ちなみに煮川の湯は2/13〜2/15に改修工事が行われる。どんな風に生まれ変われるか楽しみだ。
2/12
草津外湯18湯制覇を果たしたので、個人的な主観でランキングをしてみた。
泉質・浴槽・湯温・外観・清掃状況・脱衣所・入口どれをとっても千差万別であるが、やはりトップ3に
入るのは源泉の外湯三湯である所は衆目の一致する所であろう。
1位 地蔵 2位 白旗 3位 煮川 4位 喜美
5位 凪 6位 長寿 7位 千代 8位 翁
9位 躑躅 10位 睦
草津の達人という素晴らしいHPに出会って以来、すっかり草津フリークになり草津の情報のみならず
個人的なPCに関するトラブルまで実に丁寧にアドバイスをいただいている管理人さんお二人には
いつもながら頭が下がる思いです。18湯制覇を果たしたので、草津外湯の感想をまとめてみたい。
朝食と前後して地蔵の湯に二度入る。
狙い通りいずれも空いており貸し切り状態であった。
地蔵の湯は別名目洗い地蔵の名の通り、強酸性の湯なのに目を洗っても不思議に痛くならない。
ここのお湯は草津一柔らかで、温めで、ピリピリ感もなく肌に優しいので体質的には一番合っている。
最近痛かった左目もすっかり良くなり、心なしか物がくっきり見える気がする。
地蔵菩薩の霊験あらたかな湯であるが、夜はスキー客でかなり混雑しているので朝方の入浴が良い。
朝食前に入った白旗の湯
はかなり熱く、大きい方の浴槽にも湯の花成分が大量に含まれていた。
草津外湯の中でもここはいつ入っても湯温や湯の花成分が異なり、温泉は生き物なんだなあと実感する。
ここは湯畑前の一等地にあるのでいつでも混雑しているので、旅館の朝食前の時間が狙い目である。
草津熱帯圏の猿のショーの2回目の公演に間に合わせるべく、バリバリに凍った道を急ぐ。
猿は二頭で狭いスペースにもかかわらず様々な芸を披露して観客を楽しませてくれた。
熱帯ドームでは熱帯地方のワニ、ヘビ、カメ、鳥類など数多く見ることが出来るのだが、
密閉されている為、様々な動物の臭いがこもってしまうのがやや難点だ。
昼食はシュクセでいただく。
手作りパンセットで有名な店なのでセットをオーダーする。
パンが2つとソーセージ2つとサラダ、コーヒーがついて¥950で、量的には物足りないが
手作りパンと地元の六合ハムは絶品だ。パスタを注文するとパンが付いて来るのでそちらがお薦めだ。
最後は外湯で最も熱い湯と温い湯を入り比べてみることにした。
煮川の湯は昨日とは打って変わって入浴客が少ない為、あわせ湯を連想させる猛烈な熱さだ。
浴槽に流れ込む湯量を減らし、洗面器で湯もみをして若干入りやすくなったが、まだかなり熱く、
一分程度でギブアップをしてしまった。
喜美の湯は相変わらず温くて長湯しやすい。
途中常連客が湯を全開にするがそれほど湯温は上昇しなかった。ここは浴槽が浅いので、浴槽内の段に
肩を乗せると擬似的に寝湯が体験できる。浴室の床にすのこ、脱衣所にござがあればさらにいいのだが。
ここは土産物屋や饅頭屋に近くいつも帰りがけの締めの外湯に決めているお気に入りの外湯である。
お土産の饅頭を買いに近くの亀屋を訪れる。
ちなみにここは前回饅頭食べ比べをした際に、松むら饅頭と共にトップの評価をしている。
旅館にも下ろさず、当日売りをモットーとした頑固な店主のこだわりと温かい接客態度に惹かれて、車で立ち寄る客が絶えない店だ。
前回立ち寄った時のことを話すと幸いにも店主は思い出してくれて、HPの話などをしていると
おもむろに饅頭の生地を機械を使って作り始め、見学させていただき、HPへのUPの許可をいただく。
今回は普通の饅頭の他に季節限定の味噌饅頭までいただいてしまった。
帰りの高速バスは連休最終日の為渋滞で1時間20分程遅延するが、レポの下書きを仕上げが出来た。