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浅間温泉・秋山郷の旅
2002.06/14〜06/16

旅行者 まぶりん麻呂、ちえりん
6/15
 駅前の松本東急インを早々とチェックアウトして、松本駅へ向かう。 篠ノ井線は今年開業100年を迎え、この日松本駅では記念式典が行われるそうで、事前に知っていれば日程の調整が出来たと悔やまれた。 ホームへ行くと特急はまかいじ鎌倉行がホームに入って来るではないか。 列車待ちの僅かな間であったが、手早く撮影して篠ノ井線松本行に乗り込む。 途中で試運転中なのであろうか、新型あずさの351系と交換駅で擦れ違う。 また別の駅では、何故か旧国鉄色に戻した183系の特急車両に出会う。

 長野駅でレンタカーを借りるが、カーナビのカーソルの動かし方が分からず20分程格闘してようやく会得する。 今までは同じメーカーのものだったので慣れたものだったが、今回は某自動車メーカーの純正のものらしい。 須坂長野東ICから豊田飯山ICまで長野道を利用して、遅れを少しでも取り返そうとする。 このまま秋山郷へ直行するのは勿体無いので、飯山線と廃線になった長野電鉄木島線の駅舎巡りを間にはさんでみる。

 飯山駅は門前町にふさわしい唐破風屋根の寺社風の駅舎である。 JR東日本長野支社の一駅一名物の一環でホームに設けられた鐘つき堂で有名な駅である。 飯山駅のそばを流れる千曲川を渡った対岸には、今は亡き木島線の信濃安田駅がある。 トンネルを出た所に駅があるのだが踏み切りが撤去されただけで、レールはまだそのままである。 一応立ち入り禁止のロープが張られているが、駅舎はそのまま残っている。 次は終着駅の木島駅へ向かったのだが、架線はまだ張られたままで今でも電車が走って来そうな感じだ。 高社山をバックに水田地帯の真中に大きな木がある場所で撮影する。 木島駅は今でもバスの待合室として使われているがホームの駅名票などが剥がされただけで、現役当時のままであった。 駅事務室にはバス会社の人がいるのだろうか、人気を感じほっとする。 計画では野沢温泉まで延伸が検討されていたが、実現していればこれほど早く廃線にはならなかっただろう。

 再び千曲川沿いに北上を続ける。 対岸を走る飯山線が川の流れに忠実に沿っているのに比べ、谷街道国道117号線からは千曲川の流れはそれほど見えない。 桑名川駅の対岸にある七ケ巻集落には渡し舟の跡がある。車を降り水田の奥の川沿いの物置小屋のあたりがどうもそれらしい。 水田と千曲川の流れを見て、先人の苦労が偲ばれる。 現在では少し上流に市川橋が架けられているが、確かにこの付近には橋が他に見当たらない。

 横倉駅の手前で旧道へ出て、百合居温泉へ向かう。 場所はJA北信州みゆき栄支所の裏手にあるが、通りからは廃屋になった建物とビニールハウスの死角になってまったく分からない。 外観はプレハブながら、浴室は全て木造でかなり広めだ。入った途端に油臭が充満して濃厚な感じのするお湯だ。 やや白濁してわずかに黄色がかったお湯で、なめるとしょっぱい。湯口は浴槽の下から出てくるタイプなので飲泉はできない。 かつては湯の花が見られたそうだが、現在は湯の花を除去する為に湯口にネットが張ってあるそうだ。 湯の花とも湯垢ともつかないものが見られたが、多分後者ではないだろうか? 料金は手軽、外観は質素、浴室の雰囲気は鄙びており、お湯は適温で入りやすい。 こんな素朴な温泉は長野県でも数えるほどしかないと思う。 村の人の銭湯代わりといった感じで、いつまでもこの素朴なお湯が続いて欲しいと願ってやみません。

 旧道を横倉駅方面に行き、次の駅である森宮野原駅へ向かう。 ここは下水内郡栄村の中心で役場があるのだが、1945年2月12日に7.85mを記録したことで有名である。 日本鉄道史に残る最高積雪記録で、その記念碑をカメラに収める。

 津南町の大割野交差点で右折し、いよいよ秋山郷へ向かう。 しばらく行った右手に名水で知られる竜ケ窪への新しい道が出来ていたので、そちらへ向かいたい気持ちを押さえて直進する。 新潟秋山郷の入口にある逆巻温泉 川津屋は中津川の対岸を渡って奥へ分け入った所にある一軒宿。 ここまでの道のりは国道とは名ばかりで、所々ではすれ違うのもやっとという場所が多い。 こんな道を定期バスが通っていること自体が不思議なくらいだ。 宿自体は最近立て替えられた模様で、素朴な感じを期待していたのだが、いい意味で期待を裏切られた。 センスの良い近代的で清潔感溢れる宿に生まれ変わっていた。中津川の上の断崖の上に建っているのだが、これには訳がある。 温泉が自家湧出なのでその場所に旅館を建てたからである。 ここからの眺めはダイナミックだ。一階の部屋を覗いてみると、前が川なのでガラス戸を隔てた向うは手付かずの大自然が広がっている。

 名物の洞窟風呂の他に見晴らしの良い展望の湯というのがあるが、他に入浴客がいなかったので、洞窟風呂を2人で貸切にしてくれた。 展望の湯は後から増設したものだろう。こちらは一転して眺めが良く明るい感じの浴室だ。 洞窟風呂は岩の間から自噴している温泉をそのまま使っているのかと思いきや、時々熱いお湯が出て来る。 泉温が42.1℃なので、恐らく浴用に加熱しているのであろう。窓を開けるとボイラーが唸りを上げており、重油の臭いが漂ってくる。 洞窟は天然のサウナ効果が得られ、こもった蒸気で浴室全体が暖かいので特に冬には良さそうだ。

 逆巻温泉のすぐ南に位置する結東温泉には、宿泊施設のある「かたくりの宿」の他に「萌木の里」と言う温泉リゾートがある。 栃の実館という建物を中心とした萌木の里には内湯の桃源の湯と、栃の実館から100mほど離れた露天の山彦の湯の二つがある。 料金はどちらも栃の実館で支払うのだが、山彦の湯はあまりにも離れているので、無銭入浴などの恐れはないのだろうか? 栃の実館で料金を支払い、左手の坂を上がって行く。途中右手には立派なコテージが点在しており、グループや家族連れには最適だろう。 自然環境保護の為、露天風呂では石鹸やシャンプーの使用は禁止という注意書きがあって好感が持てた。

 露天風呂は中央から加熱されたお湯が供給されている。成分分析表では源泉43.5℃、使用位置43℃とあったが、 出てくるお湯は明らかにその温度より高く感じたので、おそらく浴用に加熱しているんでしょう。 中央の湯口から時々間欠泉みたいに盛んにお湯が噴き出していたが、これは天然の現象なのだろうか? 露天の一番手前にはお湯の吸い込み口があったが、一番奥の所から源泉が供給されていた。 これは、露天の奥が黄土色の細かな湯の花がたくさん浮かんでいたので分かった。 高台にある為、景色の素晴らしさは想像以上だったのがかなりの拾い物だった。 栃の実館はオルゴールの調べが流れ、癒しのムードが漂っている。入口には地元のきのこなども販売されており、 物産の拠点として館内では多くの食品・土産物などを取り扱っており、利用価値は極めて高い。 こしひかりアイス、つぼ押し、蕎麦茶を買ったのだが、特に蕎麦茶は500グラムで500円は安い方だと思った。

 さらに南下を続け、長野県に入る。途端に道が広くなり、舗装の状況も良く規格は新潟側に比べ明らかに格上だ。 自治体の違いで道に対する考え方の違いが如実に現れているのが面白い。 小降りだった雨がどしゃぶりに変わる中、次に向かったのは小赤沢温泉 楽養館だ。 楽養館は立ち寄り入浴施設だが、1階に食堂や2階に無料の休憩室があり、山奥の建物としてはかなり大きなものである。 ログハウスの無骨な造りが、いかにも山奥の秘湯らしい雰囲気を醸し出すのに一役買っている。

 ここは内湯のみで見晴らしは利かないが、浴室の天井は高く、換気用の窓が設置されており、湯気がこもらないのがいい。 見た目は重量感がありそうな赤茶色のお湯だが、入ってみると意外とさらっとしている。 お湯は浴槽の中に浸かっているホースから出ているので最初は気がつかなかったが、ホースを持ち上げてみて面白いことに気が付いた。 湧出したてのお湯は透明なのだが、空気に触れると酸化し、お湯に含まれている鉄分が湯の色を赤く染めていく。 数分置きに間欠泉のようにお湯がゴボゴボと噴き出して来て、周囲にお湯を撒き散らす。 源泉45℃、使用位置44℃なので湯口から一番遠い位置にある寝湯のスペースでは、やや温めになっている。 寝湯でくつろいでじっくり入るのがおすすめだ。ジェットバスと打たせ湯があるのだが、これは必要性を感じなかった。 シャワーのついた洗い場があるのだが、かこいのある打たせ湯の場所に洗い場を作った方がいいのではないかと思う。

 休憩用のスペースが浴室の外にあるのだが、未整備の為か?一部しか利用可能になっていなかった。 ログハウスの造りを生かせばこの浴室の外のオープンスペースは、もっと魅力あるものになるものと期待できそうだ。 ここは、一般的な温泉の濃度の約2倍ほどもあり、極めて効能が高い為、この湯の虜になる温泉ファンは多い。

 すっかり雨が上がり、晴れ晴れとした気分で本日の宿屋敷温泉 秀清館へ向かう。 ここは隣にある親族が経営する「かじか荘」と共有の玄関先の混浴露天風呂が、そのロケーションの唐突さで有名だ。 雑誌などに紹介されている露天のお湯は透明だが、ここに来て驚いたことにお湯の色がエメラルドグリーンに変化するということだ。 ちなみに女湯はほとんど色が付いていなかったそうだが、男湯はきれいなエメラルドグリーンであった。

 まずは、名物の露天風呂へ向かう。露天風呂に最も近い角部屋に案内されてから気がついたのだが、 玄関とは別に部屋の隣に勝手口があり、部屋から露天へ行く際には非常に便利で好都合だ。 露天のお湯は内湯より濃度が高い感じで、硫黄の臭いと白い湯の花があるのは、硫黄泉好きにとってはこたえられない。 切明・和山・栃川・上野原と同じような泉質の多いこの地域にあって小赤沢と対照的な色と味がするので、はしごをするのが面白い。 小赤沢の赤い鉄分を含んだお湯につけたタオルを、屋敷の硫黄分を含んだお湯につけたら興味深い化学変化が見られるかもしれない。 見た目はかなり入り辛いが、入ってしまえば目隠しの大岩によって外を歩いている人からの視線は遮られる。 脱衣所から露天に入るまでは丸見えなので、女性はさすがに入り辛いものがある。 先程宿に到着したおじいさんに連れられた小学校低学年の女の子と混浴になった。 人懐っこい視線を投げかけて、どんどんこちらへ近寄って来るではないか!かえってこちらの方がはずかしい気分になってしまう。

 体を洗う為に内湯へ向かう。こちらは宿の建物とは別棟でガラス張りで眺めが良い。 河岸の高台に位置し、外を歩く人の視線よりかなり高い位置に浴室があるので女性も覗かれる心配は皆無だ。 湯口から出てくるお湯は露天に比べてかなり熱い為、ガンガン加水しているが、それでも結構熱い。 コンクリートの床にスノコを敷き詰めてあるのには好感が持てる。 天気が良ければ寝湯に寝そべりながら星空を眺めることが出来るそうだが、梅雨の真っ最中で星空は拝めそうにもない。

 隣のかじか荘に泊まったことがある人が山菜料理をほめていたのもあって、屋敷温泉に宿泊することに決めた。 夕食のメニユーは山菜はもちろんだが、岩魚の塩焼きと岩魚のまるまる一匹使った吸い物が出てきてびっくりした。 山菜料理のバリエーションは広く、予想したよりも質量ともに満足の行くものであった。 長野県は馬刺しが有名であるが、ここで出された馬刺しは燻製されているのか非常にコクのある深みのある味で美味だった。 夕食は5時15分くらいに呼ばれ、昼食を軽い物で済ませたのは正解だった。 山奥の為受信できるテレビ局は限られていたので、早々と床につく。

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