赤いお湯として有名な小赤沢温泉は、お湯の色が地名になるほどだ。楽養館は立ち寄り入浴施設だが、1階に食堂や2階に無料の休憩室があり、山奥の建物としてはかなり大きなものである。ログハウスの無骨な造りが、いかにも山奥の秘湯らしい雰囲気を醸し出すのに一役買っている。
ここは内湯のみで見晴らしは利かないが、浴室の天井は高く、換気用の窓が設置されており、湯気がこもらないのがいい。もっと血のように赤いお湯だと思っていたが、どちらかと言うと赤土の泥水と言った方が適切な表現かもしれない。入って来る人は、みな笑いながら「泥水だ」と言っているが、本当に泥の中に入るような錯覚を感じてしまう。見た目は重量感がありそうなお湯だが、入ってみると意外とさらっとしている。お湯は浴槽の中に浸かっているホースから出ているので最初は気がつかなかったが、ホースを持ち上げてみて面白いことに気が付いた。湧出したてのお湯は透明なのだが、空気に触れると酸化し、お湯に含まれている鉄分が湯の色を赤く染めていく。果たして酸化するのに何十秒くらいかかるか分からないが、ビーカーに入れて実験してみたくなる。
数分置きに間欠泉のようにお湯がゴボゴボと噴き出して来て、周囲にお湯を撒き散らす。源泉45℃、使用位置44℃なので湯口から一番遠い位置にある寝湯のスペースでは、やや温めになっている。寝湯でくつろいでじっくり入るのがおすすめだ。ジェットバスと打たせ湯があるのだが、これは必要性を感じなかった。シャワーのついた洗い場があるのだが、かこいのある打たせ湯の場所に洗い場を作った方がいいのではないかと思う。
休憩用のスペースが浴室の外にあるのだが、未整備の為か?一部しか利用可能になっていなかった。ログハウスの造りを生かせばこの浴室の外のオープンスペースは、もっと魅力あるものになるものと期待出来ると思う。ここは、一般的な温泉の濃度の約2倍ほどもあり、極めて効能が高い為、この湯の虜になる温泉ファンは多い様だ。