Cafe Dojiは、「このカフェを知らずして京都のカフェを語るなかれ」という格言があるくらい実力のあるカフェ。しかし、正直言ってそれほど期待していなかったので、ネットでの情報収集もほとんどしていなかった。オリーヴでカフェNo.1に輝いたということくらいは知っていたが、これほどまでの衝撃を受けたカフェは久々である。外見からしてただならぬ前衛芸術のようなフォルム、入り口の重厚な大きな木製のドアを開けるとそこはインドネシアだった!左側は庭が望める明るい空間、右側は木の温もりを感じられる白熱灯で照らされた幻想的な空間。そして流れている音楽は南国をイメージした?スローなテンポの極上のヒーリングミュージック。普段はカフェ巡りの際にはネットで綿密に情報収集に余念が無いまぶりん麻呂。だが、この店だけは事前の先入観を排除して行ってみることをおすすめます。
カフェの紹介をしていてひどく矛盾したことを書いていると思われるかもしれないが、本当は秘密にしておきたいくらいなのでこの記事を書くのを随分ためらっていた。このカフェは、インドネシアをイメージしていることを天井に掲げられてあった彫り物を見て直感した。というのも自分の父親がインドネシアへ単身赴任の経験があり、父の在任中に自分自身もバリ島やインドネシアを訪れたことがあるからだ。現地へ行かないと分からない風土や雰囲気というものを見事に具現化したカフェが20年以上前からあったのは驚くべきことだ。中庭、森をイメージした絵画、彫り物、椅子、テーブルなどすべてが魅惑のインドネシアンテイストに溢れている。もっとも事前の情報収集を怠った為に、通りに面した別の部屋にはバリ直送の家具や絵画を販売しているショップがあったことは帰ってきた後で知りましたが(笑)
入ってすぐに感じたのは住んでみたいカフェだということ。こんな経験はPrinz以来のことだ。厨房=台所、右側の薄暗いスペースは寝室兼居間、左側の庭に面した明るいスペース兼食堂兼応接間という感じでしょうか。店の名前は初代の看板犬ドジ君にちなんでいるのだが、現在の看板犬であるボノ君は3代目とのこと。散歩に行っていることもあり、いつも店にいるという訳ではないが、看板犬よろしく来るお客さんに愛想を振り撒いているかわいい奴だ。今時のカフェのトレンドに、ドッグカフェ、庭、観葉植物、アジアンテイスト、ヒーリングミュージックなどが挙げられるが、この店はカフェブームが到来するはるか以前にそういったものをすべて兼ね備えており、驚くべきことだ。昨今のカフェブームで雨後の筍のように乱立している店の多くが、いかにこのCafe Dojiをお手本にしているかを実感することが出来た。
ただしこの店の最大のネックは値段が高いこと!それでも高級ホテルなどに比べればまだ納得できる範囲内の設定ではある。眺めのいいカフェに取り上げられていたフルーツのタルト&ドリンクのセットを注文することは店に入る前から決めていた。自分は数種類のベリーを使ったベリーベリータルトを、妻は旬の桃をふんだんに使ったピーチタルトを注文する。ここは数あるメニューの内、果物を使ったデザートには定評がある。新鮮なフルーツを使ったスムージーなどもあるそうだから、ある意味ではまる捨の商売仇といった所かもしれない。本当に注文を受けてから作っているので出てくるまで時間がかかりますが、そんなことはお構いなしに店内の写真を撮ったり、ヒーリングミュージックに聞き惚れたり、ボノ君の相手をしたり、やることはたくさんあるのです。
奇妙に感じたのはさっきまで注文をとったり、給仕をしていた女の子がカウンターのテーブルに座って食事をとり始めたこと。仕事が終わって食事をしているんだなあと思っていたら、突然入ってきたお客さんの注文を取り始める。なんだかそういう感じってアットホームでいいなあと思いました。こんな素敵な別荘みたいなカフェに住んでみたいと思わせるのも、こうした何気ない店員さんの所作に感じ取ることが出来た。最寄駅は地下鉄烏丸線の北山駅になるのだが、普通に北山のお店を散策していても行き着くことはまずないので、Cafe Dojiに行くには強い意志を持って北山通から橋を西に渡らなければなりません。