大糸線 キハ52
1957年に誕生したローカル列車用の気動車のキハ20系。そのうち2個エンジンの両運転台車がキハ52形。非電化区間の主力として量産され、気動車を地方ローカル線の主役に押し上げた。山陰地区に唯一残っていたクリーム色と赤のオリジナル塗装のキハ52 128が廃車となった後、オリジナル車両は絶滅した。JR東日本盛岡支社でオリジナル塗装に戻されたキハ52形が運用されていた。
かつて小海線などでは赤一色のキハ52形に出会ったが、最古参の気動車だけに各地方のローカル色に塗り替えられている。一番記憶に残っているのは、木次線で出会ったやまたのおろちが描かれたイベント対応と思われる車両。記事を書いた当時現存していたキハ52形は以下の通りである。
盛岡支社管内(山田線、岩泉線、花輪線、東北本線)では大出力機関に換装された車両は前面上部を赤く塗られ盛岡色(赤鬼色)と呼ばれている。
新潟地区(米坂線,羽越本線,白新線,磐越西線)では白地に青を基調とした新潟色。
高岡地区(氷見線,城端線,北陸本線)、大糸線では白地に緑のラインの入った越美北線色。
1992年9月の越美北線の気動車が新型のキハ120に置き換わったことにより、
キハ52形5両は糸魚川地域鉄道部に転属し、大糸線で活躍することになった。大糸線用の車両はワンマン機器を搭載する関係上、トイレが撤去されており、冷房化改造も行われている。そう言われてみれば、猛暑の中乗車した山田線・岩泉線のキハ52形は非冷房で、車内温度の暑さに驚かされた。
2002年月3月改正で大糸線の減便が行われ、それによって余剰となった車両が高岡鉄道部に貸し出され数ヶ月間氷見線で活躍した。その後は松任工場に留置されているらしいが、運用から遠ざかっており風前の灯となっている。南小谷駅では入線から出発までの時間が短く、大糸線内では長時間停車する駅がない為、じっくり撮影することができないが、糸魚川駅構内ではキハ52形がゴロゴロしており、雪山、貨物列車、検車庫などを絡めて撮影出来るのが良かった。
[千葉日報ウェブ 2010.9/8記事引用]
いすみ鉄道(大多喜町)は、JR西日本から中古のディーゼルカー「キハ52」を購入し、来春から運行を始める。昭和時代、同鉄道の前身となる国鉄木原線で活躍したキハ20系と同系列で、思い出の形と色をよみがえらせる作戦だ。国内唯一の現役車両とのプレミアも付き、鉄道ファンを呼び込む通年型の観光資源にしたい考え。
同鉄道は先月の会社存続決定を受け、老朽化した6車両の更新事業に着手。新型のほかコストを削減できる中古にも目を向け、観光路線に適した“秘密兵器”を探していた。車両更新は今回が第1弾。
導入するのは、長野、新潟両県を結ぶJR大糸線で今年8月をもって引退予定だった3両のうちの一つ。1963年製だが「きちんと整備をすればあと10年は動く」とみる。
実はこの一両というのがこのキハ52 125なのだ。これを赤のツートンに塗り直してJR西日本からいすみ鉄道に譲渡されるそうだ。通年の観光資源としては、現在これ以上の物件はそうそう見つからないでしょう。いっそのこと大井川鉄道のように動態保存車両の博物館的な存在となり、気動車王国を作り上げてみてはと思ってしまいます。
取材年月日 2003年1月19日