この店の歴史を調べていて驚いたことがある。1933(昭和8)年に開業した元田中のホワイトハウス(2004年12月で閉店)が京都最古のカフェだと思っていたが、スマート珈琲店は1932(昭和7)年開業だということに驚いた。宿泊したホテルアルファ京都とは目と鼻の先で朝食に利用するには便利なのだが、イノダコーヒ本店が7時から営業しているので、軽い朝食をとってからカフェのはしごをしようと思った。7時過ぎにスマート珈琲店の前を通過したはずなのだが、シャッターが閉まっており目立たない看板のおかげで見落としてしまった。寺町商店街は何度も来ているのだが、朝10時までは自動車の走行が可能で大きなトラックが通ったりしていてちょっとびっくりした。イノダコーヒを8時過ぎに出て三条通を東へ歩き、寺町商店街へ戻る途中で出勤途中のサラリーマンの人達にたくさん出会った。平日に京都にいるとこうした普段の生活感のある京都を垣間見ることが出来る。
8時15分くらいにスマート珈琲店に入ると、既に常連客と思しき数名の客が思い思いの席でコーヒーを飲んでいる。席についてしばらくして奇妙なことに気が付いた。2列に別れている客席の内、向かって右側ばかりに常連客が座っているのである。その理由はどうやら向かって左側の奥に冷房が据え付けてあり、涼しい風が出ていて、ちょっと肌寒いくらいだった。そう言えば、この店は京都で最も早く冷房設備が備え付けられた店なのだ。店内のショーケースに飾られている歴代のマッチのひとつにも、冷房完備という謳い文句を見つけてニヤリとさせられた。暑い京都の夏にこの店の冷房はさぞかし珍しがられたことだろう。出勤前のサラリーマンや登校前の学生さんが朝食を食べに来ましたという、ごくありふれた日常的な風景がここでは繰り広げられている。流石にイノダコーヒ本店みたいに、自分のように朝から取材に来ましたという感じの旅行者は皆無である。
先程イノダコーヒ本店で軽い朝食をとったので、ここはデザート気分で訪れてみた。自分はホットケーキセット、妻はプリンセットを注文する。ドリンクはもちろんネルドリップで淹れる自慢のスペシャルブレンドコーヒー。2003年1月のカフェ巡りでこの店のスペシャルブレンドコーヒーを買い求めて、そのバランスのとれた味わいの美味しさに感動した。その秘密は毎朝自家焙煎している豆を使っているからだそうだ。店内に入ると目立つ立派な焙煎機はドイツ製で、30年以上も使っているというから驚きだ。ストロングタイプのコーヒーだが後味すっきりで意外と飲みやすい、家で淹れたネルドリップと同じ味でやはり美味しい。美味しいコーヒーで思い付く河原町三条にある六曜社では、たくさんのコーヒーのメニューがあり何を注文するかという楽しみがあるが、ここスマート珈琲店には店オリジナルのスペシャルブレンドコーヒーのみしかない。
選択の余地がないのが残念だが、飲んでみて納得の70年の歴史を感じさせる絶品のネルドリップコーヒーは店の顔だ。店頭では豆も200g、900円で販売しているので通り掛かりに買うのもいいだろう。ちなみにこの店の手提げ袋はお気に入りで、今でも大切に保管している。下の画面右のコーヒー豆の缶?と同じデザインである。ほとんどの人が注文するというホットケーキはふんわりとした出来上がりで美味しいのだが、やや難を言うと隠し味の塩がきつく感じられたので、泣く泣く店の評価を下げざるを得なかった。妻が注文したプリンは立派な器に入れられ、かなりボリュームがあり、カラメルの味、てっぺんの焦げた感じ、どれをとってもおすすめの品だ。フレンチトーストも隠れた人気メニューとか。個人的なカフェの評価基準にコーヒーとフレンチトーストに重点を置いているので、次回はチャレンジしてみたい。
スイスの山荘風になっているという2階ではスマートランチが格安のお値段で食べることが出来る。メイン9品の内2品を選び、パンとスープが付き、1200円だとか。ランチのコーヒーは400円らしい。昔懐かしい洋食屋のランチは創業当時に人気を呼んでいたが、一時中断したが、その後現在の3代目の方が復活させ、今では京都市内のみならず他県から訪れる客が絶えないらしい。
取材年月日 2003年7月22日
37度の暑さから逃れる様にして入ったスマート珈琲店は、2階のランチを待つ行列が出来ていたので、やむなく1階のカフェに入ることにしました。絶品と聞いていたフレンチトーストとホットケーキを息子に食べさせることが出来た。1階の隅のソファ席はくつろげてよかったのですが、隣にヘビースモーカーの紳士が居座って閉口した。店の雰囲気、フード、ドリンクどれをとっても最高なのですが、唯一禁煙でないことが残念です。やはりここは朝早く空いている時にまったりするのが一番かもしれません。隠し玉としてここには伝説の?青いクリームソーダとか老舗の喫茶店には欠かせないミックスジュースがあるので次回の楽しみにとっておこう。本当は2階でランチをと考えていたのですく座って一人で食事が出来るようになってからかなあ…Felizさんのブログによると日替わり料理があり、祇園さんの頃には鱧(はも!)のフライなんてのも登場するようでこの店の人気の一端がうかがい知れます。
取材年月日 2006年8月6日