入川森林軌道
ここで入川軌道について説明をしておこう。 入川軌道は、荒川上流の入川渓谷沿いにブナやカツラなどの伐採木・木炭運搬用として入川と滝川が合流する大滝村川又地区 を起点に赤沢谷出合まで延びていた5.1キロの軽便鉄道だった。
今では資料や写真も少なく、「幻の軌道」と呼ばれている。 当然宮脇氏の「鉄道廃線跡を歩く」シリーズにも掲載されていない。
その起源は戦前とされ、大正14年、亡父から跡を継いだ歌人の前田夕暮を社長とする関東木材合名会社がその拠点を両神村小森から大滝村入川へと移したことで、一つの集落を作るほどの繁栄を導いたと言われている。
最初は人力でトロッコを押していましたが、やがて馬が引くようになり、戦後はエンジンを積んだ内燃機関車が4〜5連結の ボギーを引いて運搬していました。
レールの幅は普通の鉄道よりも狭いナローゲージ(762mm)で、機関車の重さは 4.5〜6トンと今から思えばおもちゃのような軌道でした。
当時は蒸気機関車よりも力の強い内燃機関車が木材運搬に はなくてはならない存在だったのでしょう。
戦時中は武器として終戦後は町の復興の為に木材の需要も多く、大変な賑わいをみせましたが、安い輸入材や環境破壊に押されて 昭和45年、森林軌道の幕を閉じました。
現在は軌道跡がひっそりと残り、十文字峠や甲武信岳への登山路となっている。
冬季(12月〜4月)は凍結の為利用できませんが、新緑や紅葉の頃には一段と美しい渓谷美が楽しめます。
[記事引用]秩父鉄道作成のハイキングマップの説明文
[参考記事]秩父の林用軌道跡
by ちょっと古い鉄道のお話
取材年月日2001年8月25日