11/18
この旅行は2ヶ月以上前に計画をたてていたが、急遽引越しが早まった為、無理を承知で決行した。
大船から寝台急行「銀河」で一路京都へ向かう。
上段のおやじのいびきでなかなか寝付けない為寝台を下から蹴り上げたら、ぴたっとおさまり事無きを得た。
平日なのでビジネス客がかなり見うけられ、ほとんどの寝台が埋まっていた。
11/19
この年の紅葉は異常気象の為いいものが期待できそうもなかったので、前日まで行き先について検討を重ね、
洛西(大原野神社、金蔵寺)、洛北(大原)、洛東(赤山禅院、円光寺、詩山堂他)の3方面に絞る。
京都駅から地下鉄烏丸線にて四条駅へ向かう。徒歩連絡で阪急四条烏丸駅へ向かい、
スルットカンサイのプリペイドカードを買おうか買うまいか迷ったが、楽しみは次回に回し、結局現金にて乗車券を求める。
2000年3月には近鉄、4月には京都市交通局が導入した為、私鉄の乗り継ぎはますます便利になっていく。
もっともこの時点では、関東でパスネットが2000年10月14日から稼動することなど知る由もないが。
阪急四条烏丸駅から普通列車に乗車する。途中桂駅にて緩急接続の為特急と急行に抜かれる。
思いのほか大阪方面へ向かう通勤客が多い。やはり関西特に大阪〜京都はイメージよりも近く、
東海道線の新快速で23分、阪急特急(河原町〜梅田)で40分、京阪特急(出町柳〜京橋)で44分。
やはり新快速の120km運転は私鉄各社にとって脅威だ。それに引き換えJR東日本は、利用者から金をとることばかりである。
2階建ての全席着席の斬新なアイデアは結構なのだが、シートの感覚がせまくひざとひざがぶつかり、あまり乗り心地のいいものではない。
関西の新快速の様に転換クロスシートが望ましい。そう言えばJR東日本には転換クロスシートが存在しないのでは?
関東ではJRと私鉄が競合する路線が少ないせいか、JRは老朽車両を東海道線に走らせている有様だ。
その中で唯一JRと競合する京急のみが健闘していると言える。
独特のメロディを奏でる新型車両は、加速性能も良く、所要時間では東海道線にひけをとらない。
話が鉄道論に及んだので元に戻そう。
東向日駅にて下車する。東向日駅は8年前に来た時は有人改札だったが、自動改札になっていた。
ここから阪急バスの南春日町行きのバスに乗る。バックパック姿の外人女性が我々と同様に終点で降りる。
帰りのバスの時刻を書き留め、金蔵寺(こんぞうじ)へ向かう。途中京都バスの長峰バス停で京都行きのバスの時刻をチェックする。
気がつくと我々の後ろからくだんの外人さんがついてくるではないか。
この道は、しばらく行くと東海自然歩道に合流する人里離れた方角へ向かうのでどうしたもんだろうか?
かなり旅慣れているのか、単に道に迷ったのかのいずれかだろう。
20分程歩き彼女は道を間違えたことに気づき、つたない英語でこの道は金蔵寺へ向かうのだと説明する。
彼女は勝持寺(花の寺)へ行きたかったらしく、来た道を引き返して行った。
しばらくつづら折りの山道を黙々と歩きつづけ、バス停から50分程歩いて、やっと金蔵寺に到着。
8年前に来た時は山門の紅葉が見事だったが、今回は紅葉している葉はほとんど見当たらず、
散々歩き回った挙句、境内でやっと色付き始めた紅葉を見つける。三脚を立て、スローシャッターで1枚撮影した後、事件が起こった。
愛用の90mm 2.8Fのシグマのレンズが突然壊れてしまった。
画面が真っ暗になったのでおかしいと思い、レンズをはずしたらなんとシャッターが完全に閉まらない。
シャッターを押しても反応せず、途中で少し開いたままになっていた。
非常用にと持ってきた50mm 2.8Fのシグマのレンズに切り換える。
その後大原野神社へ向かうが、以前訪れた時とはかなり異なり紅葉はほとんど見られなかった。
ここでも紅葉のスポットは池の周りの限られた場所しかなく、納得の行く写真は1枚しか撮れなかった。
大原野神社の奥にある勝持寺の紅葉も期待薄だったので、愛宕(おたぎ)念仏寺へ向かうこととする。
バス停に向かうと、桂駅西口行のバスが発車寸前だったので飛び乗り、桂駅で昼食をとり、
阪急嵐山線で嵐山駅へ向かう。渡月橋から嵯峨野一帯は案の定すさまじい混雑だった。
仏野念仏寺を過ぎると急に町並みに萱葺の家が現れ、鮎料理で有名な平野屋の前の紅葉が素晴らしく、
逆光で紅葉が一番綺麗に見える午後の時間帯のせいか、店の前の崖にはカメラの放列が並んでいる。
愛宕念仏寺は最近NHKBSで紹介され有名になったのか、この日も地元TV局の取材が行われていた。
改修工事中でお目当ての古くからある羅漢像の群れを間近にみることはできなかった。
入り口そばの比較的新しい羅漢像の中で記念撮影をして楽しんだ。
京福電鉄嵐山線にて帷子ノ辻で北野線に乗り換え北野白梅町へ向かう。
北野白梅町より市バスで2日間の宿である鴨川沿いのプチホテルへ向かう。
夜は出町柳駅から京阪鴨東線にて京阪三条駅へ行き、三条大橋を渡り、しばし散策をした後、
先斗町の割烹料理屋「新源氏」にて京料理を堪能する。
11/20
下鴨神社の境内のある糺の森を通りぬけ、洛北高校前バス停から一乗寺下り松町まで市バスで行く。
ここは宮本武蔵が吉岡一門との果し合いで打ち破った場所としてあまりにも有名だ。
奈良の宝蔵院胤瞬、柳生の里の当代きっての剣の名門柳生石舟斎、伊勢の鎖鎌使いの宍戸梅軒と出会い、武蔵は二天一流という二刀流を編み出す。
吉岡清十郎との蓮台野の果たし合いでは、太陽の光が清十郎の目に入る幸運にも恵まれ辛うじて勝利を収める。
伝七郎を三十三間堂に一撃で葬り去った武蔵は吉岡一門から恨みを買い、吉岡一門は清十郎の子又七郎(七歳・十歳の説が有力)
を大将に据える。これは明かに加勢のいい訳で、長槍・半弓・鉄砲まで配備し一乗寺下り松で武蔵を待ち構えた。
吉岡側では武蔵がまさか子供を切る筈がないと侮っていたが、武蔵は待ち伏せして一刀で又七郎を切ると吉岡一門は敗走する。
ちなみにこの後詩仙堂の奥にある八大神社へ向かったが、武蔵が果し合いの前に立ち寄っているが、
彼の信条として「我神仏を尊んで神仏を恃まず」ということで、願かけはしなかったそうだ。
一乗寺下り松 碑文
慶長九年宮本武蔵吉岡清十郎ト蓮台野ニ於テ剣術ヲ
試ミテ之ニ勝チ又其弟伝七郎ト洛外ニ出テ雌雄ヲ争
ヒ一撃ニシテ之ヲ斃ス是ニ於テ吉岡ノ門人恨ヲ含ミ
清十郎ノ子又七郎ト謀リ試合ニ名ヲ仮リ数十人兵仗
弓箭ヲ携ヘテ此所ニ会ス武蔵又七郎ヲ斬リ其徒党ノ
者ヲ追退ケ悠然トシテ洛陽ニ帰ルト云
大正十辛酉年 堀 翁女建之
まず雲母(きらら)漬と呼ばれる漬物で有名な穂野出という店へ向かう。
ここの漬物は歴史が深く、比叡山に登る高僧もここの漬物を食したそうだ。
この日は金福寺〜八大神社〜野仏庵〜曼殊院〜鷺森神社〜禅華院〜赤山禅院〜蓮華寺〜
三宅八幡宮という行程でひたすら歩いた。紅葉はどこも今ひとつであったが、
野仏庵のひっそりとした佇まいと、蓮華寺の池に映る紅葉の美しさは印象的だった。
三宅八幡宮から国際会館まで歩き地下鉄烏丸線にて今出川駅へ向かい、同志社大学生御用達のPaPa Jon'sという喫茶店でケーキセットをいただく。
相国寺を通りぬけ、織田信長公本廟を見学し、夕食は近くの魚熊という食事処で寿司をいただく。
11/21
出町柳駅より叡山電鉄にて鞍馬駅へ行き、鞍馬寺、貴船神社ハイキングを楽しむ。
紅葉は、唯一火祭りで有名な由岐神社の山門付近にのみ見られた。貴船より貴船口へバスで行き、叡山電鉄で出町柳駅へ戻る。
新型車両「きらら」が反対側に停車しており、早速撮影を開始する。
駅付近で昼食を済ませ、清水の七味屋で七味を求め、市バスで東寺へ向かう。
毎月21日に東寺で通称「弘法さん」と呼ばれる市が開かれており、日曜日と重なりすごい人出だ。
食べ物から骨董品まで生活用品なら何でも取り扱っているといった風だ。
一通りぐるっと見た後で、タコ焼きとサツマイモの揚げた菓子を食べる。
京都駅まで歩くと帰りの新幹線までかなり時間があったので、駅のコンビニで弁当を買って来る。
駅ビルの屋上まで続く階段を上り、上の方で弁当を食べながらクリスマスツリーを見下ろす。