ロマンスカー50000形VSE
前回の新型車両EXEは通勤特急に特化したもので分割併合を前提としたものであっただけに、あまり面白みがなかった。
今回の50000形VSEは、「ときめき」をキーワードにした小田急本来の箱根観光特急としてかつての栄光を取り戻すべく企画された。
鉄道専門ではない建築家の神戸芸術工科大学教授の岡部憲明氏が設計したこの車両は、展望室の復活を念頭に置かれている。
内装の基本色はロマンスカー伝統のオレンジでまとめられ、2.55mの高さは従来の列車のイメージを覆している。
木をふんだんに使って優美な曲線を描く内装のフォルムは、さすが関西空港やポンピドーセンターを手がけた名建築家の面目躍如だ。
私鉄、JRを通じても数少ない全席禁煙を実現し、3号車と8号車にカフェスペースが設けられた。
さらにシートまで飲食物を運ぶ供食サービスが復活したのは、鉄道ファンとしてうれしい限りだ。
名実ともに小田急のフラッグシップとなるこの車両は、乗ってみたいと思わせる特急列車として今後の活躍に期待したい。
取材年月日 2007年3月4日