津軽五所川原駅
1930年開業。津軽鉄道は津軽半島の内陸部を走る、津軽五所川原−津軽中里間20.7kmを結ぶ単線非電化のローカル私鉄。
冬季に走る「ストーブ列車」(全国唯一)と「腕木式信号機」(旅客営業路線では全国唯一)で知られる。
津軽鉄道の駅は独立しているが、JRのホームと繋がっている。
旧国鉄を引き継いだ第三セクター鉄道では固有の駅舎がなくJRと共用となっている場合が多いが、
地方私鉄でも独立した駅舎があるのは珍しいのではないだろうか?
改札口にあたる場所には防寒用に引戸が設置されているのは、冬の寒さの厳しい北国ならでは。
古めかしい改札口は入口と言うより裏口と言った風情が感じられる。
改札を抜けると目の前に跨線橋を渡ったホームの先にある車庫の側面にこう書かれてあるのが目に付く。
津軽鉄道のりばと書かれた下にある「ここに古里がある」というフレーズだ。
古めかしい駅舎の入口にも「心に響く風景と出会い」というフレーズが掲げられてある。
かつてこうしたキャッチフレーズは津軽鉄道の主要な駅に設置されていた筈だが、社員の方が考えるのだろうか?
このキャッチフレーズは、ローカル線好きにとって非常に大きなインパクトを与える。
訪れる前からどの駅にどんなキャッチフレーズがあるのか期待したのだが、初乗車の時、終着駅の津軽中里に掲げられてなくがっかりした経験がある。
券売機が設置されているものの窓口も健在で、記念きっぷなどが販売されている。
特に印象的だったのは本棚が設置されていて、誰でも気軽に待ち合わせ時間に読めることだ。
夏の暑い時期の訪問だったので駅舎の至る所に風鈴がぶらさげられていた。
津軽鉄道ではストーブ列車の他に風鈴列車や鈴虫列車というものが走っている。
ひょっとして鈴虫列車になったら駅舎の中で鈴虫の鳴き声が聞けるのだろうかと、ふと思ってしまった。
津軽鉄道では手書きのものが目立ち、手作りの品々が並び、人の温もりといった現代の鉄道会社ではおよそ忘れ去られたものが
今でもしっかりと残っている稀有な存在となっている。
取材年月日2004年7月19日