ボタンひとつで窓が開いたり、車内に鏡があったり…。
そんな斬新な機能満載の古参の電車が、相模鉄道で今でも走っている。
7000系は、1975年から1985年にかけて80両製造されたが、最新型の11000系に置き換えが進み年々数を減らしている。
車内に入ると「自動窓」と記された大ぶりのボタンが、窓の脇に設置されているのが目に付く。
初めてこれを見た当時中学生だった私は、面白半分に窓を上げ下げしたような記憶が残っている。
油圧機構押しボタン操作式の1段下降式パワーウィンドウ仕様になっていて、押すと床下の油圧式シリンダーが作動し、ゴゴゴ…とガラスが開閉する。
全国でも珍しい、相鉄独自の仕掛けだが、これを見習って小田急1000形にも自動窓が採用された。
窓の開閉ボタンの上には扇風機のスイッチがあり、これもお客が自由に操作できる。
スイッチ付きの扇風機は旧国鉄の気動車だけのもかと思っていたが、私鉄の車両では珍しいのではないだろうか?
これも古き良き昭和の鉄道の良さを感じさせてくれるアイテムの一つになっている。
車内客室扉脇や運転室側に、B5版程度の大きさの鏡が設置されているのも珍しい。
この7000系に乗ると、身だしなみを整えている人をよく見かける。
入れ替わりで導入が進んでいる11000系には、当然のことながら自動窓はない。
何しろ1年中エアコンが入っている時代で、「節電の夏」の2011年の夏こそ久々に活躍したものの、独特の自動窓はもう普及しそうにない。
7000系は外見的にはあまり魅力を感じないが、むしろ車内の設備に萌えてしまうという変わった車両である。
取材年月日 2011年8月12日