紀州鉄道キハ603
JR御坊駅の0番線、これが紀州鉄道の始発駅です。JRからホームを間借りしています。
線路はこの駅から市街地に向かって延び、西御坊駅までの2.7kmを8分で結びます。
紀州鉄道の前身である御坊臨港鉄道が設立されたのは、1928(昭和3)年のこと。
国鉄御坊駅の場所が市街地から大きくはずれたため、町の有志が資金を出し合って鉄道会社を設立したのです。
御坊臨港鉄道は国鉄御坊駅から市街地を通り、日高川河口の港まで敷設されました。
当時、阪神地区や東京への物資の輸送は海上交通が主体で、日高川河口はその拠点でもありました。
昭和6年に紀州鉄道となって、旅客と貨物を輸送しましたが、主体は貨物でした。
主に木材、みかんなどを積み、特に名物のみかんは鉄道で日高川河口の港まで運び、
ここから船積みして神戸や大阪、東京に届けられました。
国鉄貨物の取り扱い廃止とともに、1984(昭和59)年から貨物輸送を廃止。
さらに1989(平成元)年には、西御坊駅から日高川駅間が廃線になりました。
このため、当初3.4kmあった営業距離は2.7kmになったのです。
現在の終点西御坊から日高川駅までの線路はそのまま残っているが、かつての終点の日高川駅は取り壊されているそうだ。
中間にある紀伊御坊駅は紀州鉄道の拠点駅で、紀州鉄道の鉄道部門の本社もここに置かれている。
硬券の切符や紀州鉄道が販売している記念品などは、ここで買い求めることが出来る。
また、側線には大分交通耶馬溪線からキハ603と共に転属となった
キハ604が予備車として留置されている。
今回は時間の関係で途中下車できなかったが、鉄道ファンなら是非途中下車することをおすすめします。
紀州鉄道には五つの駅がありますが、最も新しいのが1979(昭和54)年にできた学門駅です。
かつてはここに中学前駅があったのですが、1941(昭和16)年、戦争のために廃駅となりました。
それを東隣りにある県立日高高校からの要請で新たに復活させた。
ところで、この学門駅は受験生の間で評判になっています。
学門駅の入場券と、お隣りの美浜町にある日之御碕神社のお守りがセットになったお守り付き入場券は、
学校の門に入場とは縁起がよいとのイメージがあり、一月から三月の受験シーズンに大人気。年間約千枚が販売されているそうです。
紀州鉄道は、非電化ローカル私鉄の割に本数は意外と多く、紀勢本線と接続して運行されている。
[記事一部引用・抜粋]関西電力(わっと’98.2月号)
取材年月日 2003年7月21日