きのくにシーサイド
1.基本情報
きのくにシーサイドは、JR西日本が運行していた臨時快速列車(または普通列車扱い)およびその専用ジョイフルトレインの愛称。天王寺駅と白浜駅間を阪和線・紀勢本線経由で結んでいた。
2.運行の経緯
誕生の背景
運行開始: 1999年(平成11年)4月29日
きっかけ: 和歌山県南部の南紀・熊野地域で開催された「南紀熊野体験博」(1999年4月29日〜9月19日)に合わせて登場
当初の役割: 博覧会場へのシャトル列車・動くパビリオン的存在
博覧会後: 観光列車として夏期を中心に運行継続
運行終了
最終運行: 2007年8月26日(「さよならきのくにシーサイド号」として運転)
廃車日: 2007年11月5日付
運用期間: わずか8年という短命な車両だった
3.運行概況
通常運行
運行区間: 天王寺駅〜白浜駅間 1往復
運行日: 主に週末
特別運行
ミレニアム記念として特別な運行も実施:
2000年(平成12年)1月1日: ミレニアム記念運行
2001年(平成13年)1月1日: 21世紀初年記念運行
これらは前年12月31日に始発駅を発車する夜行列車扱いで、正月臨時輸送の一環として運行された
4.停車駅(2006年7月時点)
天王寺 → 鳳 → 和泉府中 → 日根野 → 和歌山 → 海南 → 箕島 → 湯浅 → 御坊 → 南部 → 紀伊田辺 → 白浜
4.車両構成
編成(白浜方から)
スハフ12 128 - 普通車指定席
オハ25 57 - 展望車(パノラマデッキ)
オハ12 228 - 普通車指定席
オハフ13 27 - 普通車指定席(運転台付き)
牽引機関車: DE10 1152(常時白浜側=1号車側に連結)
5.車両の特徴
塗装デザイン
南紀エリアをイメージしたオレンジ・ブルー・グレーの組み合わせ
白色の帯をアクセントに配置
客車だけでなく機関車も同様の塗装
安定感があり引き締まった印象
座席車(3両)- クルージングキャビン
4人ボックス席に統一
381系の更新工事で発生したグリーン車の座席を使用した快適な仕様
全車普通車の座席指定席
全面禁煙(喫煙スペースは4号車のみ)
展望車(2号車・オハ25 57)
24系寝台客車を改造
側天井部分にガラスを設置した特殊構造
山側に一段高い位置にテーブルと椅子を配置
海の眺望を楽しめるよう設計された異彩を放つ車両
6.運転方式の特徴
機関車は常時白浜側(1号車側)に連結
機回しの手間を省くため、4号車先頭部に運転台を設置
推進運転(ペンデルツーク方式)を採用
嵯峨野トロッコ号やくしろ湿原ノロッコ号と同様のプッシュ運転方式
7.その他の活用
列車名としての「きのくにシーサイド」号以外にも、「萩・長門ブルーライナー」などの運用にも使用されることがあった。
8.評価
運用期間わずか8年という短命ながら、南紀の観光振興に貢献した特色あるジョイフルトレインとして惜しまれつつ引退した。
取材年月日 2003年7月21日

































