上総鶴舞駅
1925年開業。2000年10月14日に「関東の駅百選」に認定され一躍脚光を浴びるが、翌2001年10月22日に無人駅となる。
小湊鐡道の典型的な有人駅舎である為、テレビドラマ、雑誌のグラビアなどの撮影にもしばしば使われている。
木造駅舎、瓦葺き、木枠のガラス窓、板で塞がれていない駅事務室など開業当時の姿をそのままとどめている。
現在は1面1線の線路を挟んだ反対側には、現在は使用されていない島式ホーム1面2線が残っている。
駅構内には倉庫が残り、今回の取材では存在すら知らなかったのだが、駅舎などに電気を供給していた発電所の跡(建物は現存する)も残る。
上総鶴舞駅から南総鉄道で現在の外房線茂原駅まで接続する計画があったが、駅前の小湊バス茂原駅行のバス停がその名残だろう。
茂原〜上総鶴舞のバスは駅前から発着するのは朝、夕、夜に3便のみだが、所要時間は45分と意外と近いのに驚かされる。
鶴舞町は井上氏(6万石)の城下町で、桜の名所で知られる。
城跡をはじめ神社仏閣が点在している為、駅舎には周辺のハイキングコースとして紹介されていた。
使われていない島式ホームから眺めると、広大な駅構内と下り線側にカーブを描いている線路がたまらなく旅情を感じさせられる。
ホームの花壇にははきれいな花が植えられ、駅舎内も定期的に清掃されているのかゴミひとつ落ちていなかった。
改札口からホーム方向へ目をやるとシュロの木が植えられており、風情ある駅の風景の中のアクセントになっている。
ホームにある現在の駅名票は近年新しく付け替えられたものであるが、”かずさ”ではなく何故か歴史的仮名遣いの”かづさ”になっている。
取材年月日2003年8月23日