ロマンスカー10000形HiSE(Hi-decker Super Express)11両
小田急開業60周年記念車両として21世紀に通用する次世代特急形車両として4編成が製造された。1988年にはLSE車に引き続き第31回ブルーリボン賞を受賞する。車両の先頭角度がLSE車の60度に比べ37度となりさらに精悍なイメージとなった。展望部を除く一般客室の天井高が高く取られたハイデッカー構造となり、LSE車に比べ41cmアップした。リクライニングシートは採用されず、LSE車の簡易式のリクライニングシートを倒した状態で固定されている。ワインレッドと白色のカラーリングは従来のロマンスカーのイメージを刷新し、2001年頃からVSE車の登場までロマンスカーのフラッグシップとして小田急の広告等で使われていた。
2006年に交通バリアフリー法が施行されると自慢のハイデッカー構造が仇となる。ハイデッカーゆえにバリアフリー工事が出来ない為、車体更新も行わずこのまま引退させる方針である。VSE車の登場に伴い3編成が運用から離脱し、2編成が長野電鉄に譲渡され2006年12月9日より、長野線長野駅〜湯田中駅間のA特急「ゆけむり号」1000系として運転を開始したのは記憶に新しい。長期間運用から離脱していた1編成は運用に復帰し、残る2編成は現在実施中の保安装置の更新により、運転台等の改造が必要な他の特急車両の予備として残されている。30000形EXEが導入された1996年以降、7000形LSEと共通の運用となっており時刻表上でL/Hと表記されている。2012年3月のダイヤ改正をもって営業運転を終了した。
取材年月日 2007年1月1日