知和駅
1931年開業。因美線は陰陽連絡線として急行砂丘が走り、タブレット交換が見られ、木造駅舎の宝庫であった。
しかし、短絡線の智頭急行が開通した後は典型的なローカル線となり、列車本数も減少した。
因美線の数ある木造駅舎のうち昭和初期の雰囲気を色濃く残していた知和駅だが、訪れた時はホーム側の壁が崩れかけていた。
そして今にも吹いて飛ぶようなボロボロのトイレが印象的だった。
知和駅で手を加えられていたのは、駅舎内の待合室側の窓がアルミサッシに替えられた程度だったが、
最近になってようやく補修されたと聞き嬉しい気分になった反面、原型をとどめていた時に訪れておいて良かったと思った。
トイレは台風で倒壊したとかで、大小のトイレが設置されなんとトイレットペーパーまで置かれているそうだ。
周りには工場と数軒の民家があるだけで周囲にあるのは手付かずの自然のままの田園風景が広がる秘境駅として名高い。
駅舎事務室は施錠されているが、定期的に内部まで清掃されており荒れた感じはまったく感じられなかった。
奥の方には畳敷きの部屋もあり、かつては駅員が寝泊りしていたことを思い起こされた。
木製の角が取れて丸くなったラッチや手荷物検量用の秤が置いてあったり、かつての貨物線ホームが鳥取方に残されたりしていて
この駅は鉄道遺産として末永く保存すべき第一級の価値があると思う。
駅舎入口には現役のポストが設置されホーローの看板が残っているのを見ると、昭和の香りはこの駅に今でも息づいているのを感じた。
取材年月日2004年6月19日