2007年10月20〜21日に行われた「ファミリー鉄道展2007」は、3000形SE・3100形NSE・7000形LSE・60000形MSEの他に千代田線直通車両の新型4000形4051Fが60000形MSEの隣に留置されていた。
ロマンスカー3000形SE(Super Express)・SSE(Short Super Express)5両
普段は海老名電車基地にて静態保存となっている3000形SEが初めて屋外展示された。小田原方は5両編成化後のSSEデザイン、新宿方は復元されたオリジナルのSEデザインとなっていた。鉄道技術研究所に在籍した旧海軍空技廠出身の航空技術者たちのノウハウが盛り込まれた流線型のデザインは、その後の新幹線0系やボンネット型のこだま型特急車両の開発にも大きな影響を与えた。走る喫茶室とも呼ばれ、ミュージックホーンが印象的な革新的な特急形電車は、第1回ブルーリボン賞を受賞する。1957年9月27日に東海道本線の函南駅〜熱海駅間で、狭軌の鉄道における速度の世界記録(145km/h)を記録した。御殿場線電化に際して、新松田から御殿場まで直通急行あさぎりとして使用された。中学校の通学時に町田駅でしばしば3000形SSEのあさぎりを目撃したことを記憶している。国鉄民営化によりJR東海と共同で20000形RSEとJR東海371系を新造することとなり、これにより順次廃車された。
ロマンスカー3100形NSE(New Super Express)6両
大野工場にて静態保存となっている3100形NSEが屋外展示された。運転席を2階に上げて小田急の悲願であった展望車を実現した車両。新宿駅〜小田原駅間60分(表定速度80km/h以上)という目標を達成出来なかったが、62分という所要時間は、最新型の50000形VSEですら達成出来ていないことを考えると評価に値する。名鉄のパノラマカーと双璧をなす歴史的名車であり、多くの映画やテレビドラマに登場した。乗降扉は小田急最後の「全手動内開き旅客用扉」であり、幼少の頃に自宅に一番近い停車駅である藤沢駅で係員か駅員が開閉作業を行っていたのを日常的に見ていた。1964年にはSE車に引き続き第7回ブルーリボン賞を受賞する。
ロマンスカー7000形LSE(Luxury Super Express)11両
小田急初のワンハンドルマスコンが採用され、折返し駅ではシートが自動的に回転する画期的な車両で、1981年にはNSE車に引き続き第24回ブルーリボン賞を受賞する。基本的にNSE車を踏襲した型だが、車両の先頭角度がNSE車の60度に比べ45度となり精悍なイメージとなった。また、前照灯や油圧緩衝器突当座などを車体内に埋め込むことですっきりとしたデザインとなった。1995年からはワインレッドと白色の新しいカラーリングで運行している。小田急ロマンスカー運転開始50周年を記念して2007年7月6日に10年振りに旧塗装色に戻された編成が走り始め、「ファミリー鉄道展2007」に展示され、2008年3月31日まで旧塗装色で運行される予定。30000形EXEが導入された1996年以降、10000形HiSEと共通の運用となっており時刻表上でL/Hと表記されている。
ロマンスカー60000形MSE(Multi Super Express)10両
千代田線直通運転用に50000形VSEをベースに開発された2008年デビュー予定の新型ロマンスカー。6両と4両の分割・併合が可能で、分割・併合しない先頭車両はVSEの運転席を1階部分に下げたような感じだが、全面左側に非常用貫通扉が設置される。車体塗装は全体に「フェルメール・ブルー」を配色し、小田急ロマンスカー伝統の「バーミリオン・オレンジ」の帯をまとう。
取材年月日 2007年10月21日