年末に浅間温泉と渋温泉などの湯巡りと長野電鉄の完乗を目指した旅の最後のしめくくりとして善光寺を訪れた。年末になると有名な観光地であっても休業の所が多く、最終日の日程に穴が開いた感じになってしまった。結局長野駅に近く長野電鉄で訪れることも出来る善光寺に決めた。特急ゆけむりの停車駅である終点長野のひとつ手前の権堂で下車して善光寺方面へ歩いていった。しかし昨夜から降り続いた雪が本降りとなり、善光寺に近づくにつれてひどい降りになってきた。ガイドブックでチェックしていた数軒の食べ物屋さんはことごとく休みで、最後の砦となったのがこのティールーム藤屋だった。雪の中を延々歩かされた息子の機嫌が悪くなり、このお店の中に入ってからもしばらくぐずっていた。
店の中に入るとまず目を引くのが巨大なストーブだ。冷え切った体を温めるべく、ストーブに一番近いテーブルを使わせてもらう。あまり見かけない形だなあと思って、あとで調べてみたら手作りだそうだ。店の奥には赤地のキャンパスに黒で描かれた抽象画が飾られており、異様な存在感を放っている。柔らかな感じの間接照明のライト、入り口側の柱時計、板張りの床などが古き良き時代の喫茶店の風情を残してくれている。
この後に善光寺に行くのだが、丁度お昼前だったのでここで軽い昼食をかねてゆっくりさせてもらった。メニューを見るとトーストやサンドウィッチなどの軽食メニューが充実している。タンネティーという耳慣れないものがあったが、紅茶とミルクを半々にしたものだった。「カラメルスノウパイ」というのが人気メニューらしいが、真冬にアイスクリームは辛いので今回はパス。大好きなチーズケーキを平らげた息子はようやく元気を取り戻し、善光寺に向かって元気に歩き出した。善光寺に向かう途中にこの喫茶店の上に「本陣藤屋」という石造りの壁の建物があり、なかなか立派なレストランもあるではないか!店に漂っていたそこはかとない高級感は、登録有形文化財として歴史ある建物の一角にあるからなんですね。
草津温泉の「日新舘」とカフェ「ぐーてらいぜ」の関係に似ていて、「本陣藤屋」にも泊まりたくなってしまいました。しかし、色々調べて行くうちに宿泊施設は2005年で営業を終了しており、現在は結婚式場とレストランとして営業していることが判明。創業300年という老舗旅館の方向転換は正解だったようで、平日のランチ時でも結構繁盛しているらしく地元客や観光客のニーズに合致しているようだ。牛に引かれて善光寺参りの宿泊客目当ての商売も新幹線にはかなわないといったところでしょうか…