今日は毎週欠かさず見ている「ハコイリムスメ」の録画予約をし忘れたので焦っていた。ただでさえ昨日と今日は9時間勤務で就業時間が19時までなのに、数字があわずに30分も残業してしまった。しかし、その遅れのおかげで引退間近の為、黄色と深緑色に塗り分けられた旧塗装小田急線の2600系に出会うことが出来た。幸運なことは重なるもので、2週間の間カフェ通いになる為、カバンにはコンパクトデジカメを忍ばせているのである。会社帰りに列車の写真を撮るのは初めてではあるが、カメラを向けた瞬間、思考回路は鉄ちゃんモードに切り替わる。6両と4両の結合部分に乗車したので苦もなく車端部の撮影まで出来てしまった。下北沢ははるか昔付き合っていた女性との思い出深い場所なので、思い出を封印すべく訪れるのを拒んできた。しかしその封印が実に16年振りに解かれることになる。下北沢には他にも気になるカフェが数軒あるので東京カフェメシクルージングプロジェクトをやってみようと思ったきっかけになった場所でもある。おぼろげな記憶をたどると、確か南口にあったカフェバーみたいな所でカクテルなんぞを飲んだ記憶もあるが、思い出すと切なくなるのでこの辺でやめておこう。
このカフェははっきり言ってみつけにくい。マンションの3階と4階を占有している立地条件にあるのだが、あまりに目立たない為しばらく借り手がつかなかったそうだ。京都のカフェを引き合いに出す癖が抜けないのだが、扉を開けて感じたのはefishの2階に感じが似ているということだ。カフェ・オーディネールは図書館のように本が並んでいて、商品の見本が陳列されているefishとはまったく違うのだが、うまく説明がつかないのだが恐らく店のコンセプトが似通っているのではと思った。昨日カフェ・ライフで思ったのだが、一人でカフェに来る時は本がないと間が持たない。今朝家を出るときに文庫本を持ってくるのを忘れたなあと思っていたら、ここは図書館かと思うくらい本棚にぎっしり本が並んでいるではないか!4階が禁煙であるという情報をキャッチしていたので、3階には目もくれず4階に上がり一番奥のテーブルに座る。手近な所にソムリエの田崎信也のワインの本を見つけたので、食事が出来るまでしばし読み耽る。しかし読書をしようにも頭上にあるのは小さな豆電球が二つだけ。これはこれで雰囲気があっていいのだが、あまりに暗すぎて本を読む環境には程遠い。雰囲気はいいのだけれども、これでは目に悪そうだ。暗い所で本を読むのはあまり苦にならない性分だが、これではあまりに暗すぎる。自前で電気スタンドを持って来たくなる、そんな暗さだ。照明に問題がなければ5つ星にしたいところだが、2ポイント下げざるを得ない。お願いですマスター、電気スタンドのレンタルして下さい。ここで書いても仕方がないのでメールをしておこう。
料理のオーダーが重なったのか、注文した海老とルッコラのバゲットサンド850円はなかなか出て来ない。こういう時、手近な所に本があるのは一人で来た時には助かる。携帯電話を持たない主義なので空いた時間にメールをするということも出来ない。いや、ちょっと待て。日頃会社で仕事の能率を上げることばかり考えて、せわしない時間を過ごしているので、こういう時こそ何も考えないボーっとした瞬間があってもいいではないか。カフェ・オーディネールの4階の一番奥の席の暗がりでワインの本を手にしながら、そんなことをふと思った。リラックス出来るという点では昨日のカフェ・ライフがキャンドルや間接照明で作り上げられたものに対し、シンプルで素っ気無い壁、目に付くのは深海にいるかのような暗さと書棚に並ぶ本の数々。
やっと出てきたバゲットサンドはフランスパンを半分くらい使ったものであり、予想以上のボリュームに満足した。添え物のルッコラにはバルサミコソースがかけられており、バゲットにはさんでバルサミコソースと一緒にいただいた。食後は木苺のミルクシフォンケーキ500円と謎の飲み物カフェ・コレント(アイリッシュウイスキー入り)650円を注文した。シフォンケーキは、つぶつぶ感が残る木苺の酸味を生かした上品な味わいのシフォンに練乳をかけてミルキーな仕上がり。カフェ・コレントとはエスプレッソのドピオのことだろうか?アイリッシュウイスキー入りのそれは砂糖と一緒に出された。たっぷりと砂糖を入れて飲むと、アルコールとコーヒーが渾然一体となったカクテルのようだ。この店では、私が人生で一番美味しいと思ったコクテル堂のコーヒー豆を使っているので、コーヒー目当てで訪れてみることもおすすめします。
一人になりたい時、本が読みたくなった時、そんな時に訪れるのが最高の下北沢の隠れ家カフェという位置付けになろう。ただし、本を読みたい場合は夜は避けて、昼間に来るべきであると付け加えておこう。ちなみに東京カフェマニアのサマンサさんによると土日は非常に混雑するそうです。平日の夜に貴方もペンライトを持って秘密の隠れ家で本を読んでみませんか(笑)ちなみにここに掲載している画像は画像処理しています。どれくらい店内が暗いかは、実際に行って確かめてみましょう。