cafe de motonamiは、ペンション山口 元波館の別館として2002年3月3日オープン。小涌園のユネッサンに一人旅用のB&Bの宿が出来たことに象徴されるように、箱根にも泊食分離の宿が増えてきている。こうした流れの中でペンション山口 元波館は、1泊朝食付き(B&B)の宿泊施設として生まれ変わった。小豆を中心とした甘味処でエスプレッソをいただくといういうコンセプトのカフェである。ペンション山口 元波館の宿泊客は、こちらで夕食を食べることも出来る。場所はかの有名な富士屋ホテルの向かいにあり、背後には老舗旅館の奈良屋の跡地が広がる。
1階の喫茶スペースは狭いのだが、2階に上がるとゆったりとした空間が広がっている。まず焚かれているお香の香りが、いかにも宿泊施設が経営していることを感じさせる。天井には無骨な木の梁が目立ち、奥のテーブルは昔の看板が使われており、なかなか凝った作りである。一言で言えば大正ロマンのカフェの建物をイメージした木造の建物なのだが、これは多分富士屋ホテルなどの景観に配慮したものだと思う。
私は、「ふふ味」(ふふみ)というブラマンシェの上に小豆がかかったものとコーヒーを注文する。「ふふ味」はこの店の看板メニューだけあってさすがに美味しいのだが、残念ながら量的に物足りない。もう少し量を増やして、値段を高く設定してもいいと思った。妻は、「欲張りんぼう」という白玉・小豆・クリームの盛り合わせとバニラティーを注文する。こちらは白玉がねばねばしすぎており、質的にも量的にもいまひとつであった。甘味のメニューは多いのだが、「ふふ味」以外はいずれも値段設定が少々高すぎる感じがする。
しかしながら、気軽に入れるカフェが少ない箱根という観光地にあってこのカフェとしての利用価値は大きい。北海道の無農薬十勝産大納言と沖縄産の黒砂糖を使った小豆を中心としたメニュー作りと、古い物を大切にすることから生まれる癒しの空間として、忘れかけていた古き良き観光地としての箱根の魅力を思い出させる、そんな素敵なカフェである。