鎌倉の小町通りと言えば、観光客や修学旅行生で何時も賑わっている。ミルクホールは一本奥に入った静かな住宅街場所にある為、静かな佇まいの中にある。このあたりは洋館を改築したカフェ ラ・ルナにも共通している。決定的に違うのは鎌倉でよく見かける人力車すら入れない細い路地の奥にあることだ。外見は普通の住宅に見えるが、一歩中へ入ると板張りで昔の学校に似た臭いがして懐かしい感じがする。左手には骨董品のコーナーがあり、以前陶器を中心とした骨董品を覗いたことがある。その時のカフェの印象としては冬が似合うカフェだと思い、冬になるのを待っていた。今日のような冷たい雨の降りしきる夕方に訪れるのが、最高のタイミングだった。
店内には古い家具が置かれ、渋いジャズが流れており、大正ロマンの時代にタイムスリップしたかのようだ。ほの暗い照明の中に石油ストーブの火が幻想的に見える。これぞ求めていたイメージ通りだった。いわゆる偽アンティークであるが、ミルクホールは家具の修理なども行っており、古いものを修理しながら大切にしていくというこの店のポリシーが店内で大切に使われている家具から汲み取ることが出来る。定期的に骨董市や店内でのライブが行われ、フリーペーパーで全国的に知られるすぐ近くにあるcafe vivement dimancheとは違った形で情報発信をしている。
食べ物のメニューには温野菜があり、冷えた体を温めるのには最適だと思ったのだが、約1/4のキャベツのカタマリの真中あたりが冷たくなっていたのが少々残念であった。18時頃を境に客が急に帰り始める。むしろこの店の真骨頂は18時からのBar Timeにあると思う。Bar Timeといってもアルコールメニューだけでなく、しっかり食事も出来るそうので、今度来る時は夜の時間帯で渋いジャズをBGMにお洒落な鎌倉の夜を堪能してみたいと思う。
取材年月日 2002年12月21日
約20年ぶりに訪れた鎌倉の老舗カフェ。駅から近い割に小町通りの喧騒と無縁な住宅街にある穴場カフェ。店内はさながら骨董品の市が立っている様で、実際に購入出来るものもあり、アンティーク好きにはおすすめ。
昼食後に小町通りを脇に入ると懐かしいミルクホールの看板を見つけたので、赤ワインと自家製パン、チーズの盛り合わせで楽しんでみた。パンもチーズもここでしか味わえないオンリーワンの味に大満足。初めて訪れてから20年も経ち、メニューも沢山増え、カタカナの店のロゴはなくなったが、落ち着いて寛げるお店の筆頭にあげたいお店だ。
取材年月日 2023年2月23日