梨木神社のすぐ北側、御所とは細い道をはさんだ東側には地元のグルメの間でも絶賛されているカフェ「メイプルツリー」がある。御所の東側の目立たない小道を歩いていると、総ガラス張りの斬新な建物が現れる。特別見事な庭園という訳ではないのだが、小さな小川や庭園がしつらえてある。向かい側にはいろいろなテナントが入った建物があり、丁度中庭のような感じになっている。御所のすぐ隣ということで古き良き日本の伝統を取り入れており、景観に気を遣っているのが評価できよう。ただ、噂通りガラスの掃除まで行き届かないと見え、せっかくの舞台装置の魅力も少し損なわれている。訪れたのが秋の終わりであった為、紅葉も終わり物悲しい雰囲気が漂っている。新緑、もしくは紅葉の盛りの頃に訪れるのが最適であろう。
天井も含めてガラス張りで外の景色が常に目に入るのは、なかなか珍しい造りである。目立った配色は避けモノトーン調にしており、全ては外の庭園に目を向けさせる為に計算し尽くされている。余談であるが、店の前に紅葉の大木が枝を張っているのを見て、メイプルツリーというのは紅葉の木であることに改めて知る。この木こそがこの店のシンボルであり、雅な古都のたたずまいを醸し出すのに一役買っている。御所付近を散策した後に、引き続きしっとりした優雅な風情の余韻を楽しみたい向きにはおすすめのカフェである。
昼前の中途半端な時間にも関わらず、近所の優雅なマダムがちらほら目立った。朝食がかなりのボリュームだった為、軽いおやつ程度の物ということでクレープを注文する。以前は、チョコクレープとバナナクレープがあったそうだが、現在メニューにはただクレープとしか書かれていない。この頃はまだCafeにそれほど興味がなかったので、飲み物を注文しなかったことが後になって悔やまれた。コーヒーには、古来より名水として有名な梨木神社の地下水を使用しているとのこと。
ランチメニューではパスタの種類も数多くある為、雑誌によってはランチの美味しい店としても紹介されている。様々な角度から紹介されているが、雅な古都のたたずまいを現代に伝える伝道者の役割の一端を担っている名店と言えよう。