今回の宿を決める際に一番決めてになったのは、交通の便がいいこと、近くにカフェがあること、京都らしい風情のある場所である。祇園の北側のホテル新門荘から新橋へは目と鼻の先の距離で、新橋を渡った所にあるのが「ぎおん小森」である。ここはもともとお茶屋さんだったことから、外見からは甘味処であるとは到底信じがたい。京都に何度も行っているのだが、ここが甘味処であることを知ったのはつい1年程前である。人気の店なので休日ともなれば混雑するそうだが、甘味処としては比較的遅くまで営業しているので夕食を食べてからホテルへ入るまでの間を利用して訪れることにした。
四条京阪前でバスを降りると、祇園の街は時ならぬ賑わいを見せていた。南の方角から七夕の笹飾りのようなものを手にした人達が横断歩道を渡ってくる。後で知ったことだが、祇園の南側に位置するゑびす神社では初戎という祭りが行われており、この夜は後夜祭とも言うべき残り福であった。この飾り付けは縁起物として店の中や家の前に飾り付けられており、この後に訪れたカフェなどにも初戎の飾り付けを見ることが出来た。
玄関を上がって畳敷きの廊下を歩いて行くと、所々に行灯が灯っている。これが見たくてわざわざ夜になるのを待ったのである。部屋に入ると飲み会帰りなのであろうか、陽気なお客さん達の賑やかな笑い声が溢れていた。イメージしていた元お茶屋さんらしいしっとりとした風情を期待していたので、少々当てが外れた感じであった。若い女性の店員さんが二人いたのだが、注文を取りにきた方のしゃべり方がゆったりとした京言葉でちょっと面くらった。もう少し早くしゃべってくれないかなとか思いつつも、普段も同じようなしゃべり方をしているだろうか?
トイレを借りるついでに廊下の行灯と誰もいない客室を撮影する。しばらくすると我々の通された部屋は満席となり、先程撮影した奥の客室へ通されている様であった。奥の部屋は坪庭に面しており、夜はこちらの方が風情があってよろしい。逆に昼間は白川に面した部屋の方が眺めが良さそうである。
注文したのは店の看板メニューと言うべきクリーム白玉あんみつと抹茶プリンパフェ。それぞれ1000円、1200円と常識では考えられない値段設定である。クリーム白玉あんみつはにはくずきりが入っており、確かにひとつひとつを構成する要素は美味しい。が、しかし量的には少々物足りない感じは否めなかった。それに対して抹茶プリンパフェはおすすめである。これほど甘すぎず抹茶の香りを生かした絶妙な具合のパフェはいまだかつて食べたことがない。パフェというと甘ったるくて重たいイメージがあって、あまり口にすることがなかったのだが、自分もこれを注文すればよかったと後悔した程の逸品だった。興味深いのは隣のグループが抹茶プリンパフェと抹茶ババロアパフェの食べ比べをしていたことだ。抹茶プリンパフェに軍配が上がっていたようだが、これは次回是非やってみたいものだ。