コメダ珈琲店は喫茶店が日本一多いとも言われる名古屋地区で最も有名なチェーン店である。名古屋を始め関西ではモーニングセットとして珈琲1杯の値段でトーストとゆで卵がつくというサービスはよく知られている。関東では神保町の一部の喫茶店で行なわれているものの、ファーストフードで朝食をとり、ドトールなどのコーヒースタンドでコーヒーだけをすするというのが関東の朝の外食のスタイルなのであろう。コメダ珈琲店の名前を知らなくても名物シロノワール、小倉トーストなどはご存知な方は多いのではないだろうか。
以前青春18切符でどこへ行こうか思案した時に、かつて住んでいたことのある名古屋を訪れて味噌かつ、天むす、ひつまぶしを食べてみようと思い、いろいろ調べているうちにコメダ珈琲店の存在を知った。関東には進出したのは比較的最近で2003年5月に開店した横浜江田店を筆頭に、大和つきみの店、橋本店、湘南台店と首都圏から離れた神奈川県の郊外で相次いでオープンしている。愛知県の各都市に出店している事実から考えると、神奈川県の各都市に1店ずつ出店していく可能性があると言えよう。
外観からしていまどきのお洒落なカフェとは異なった一見ファミレス風なので、遠くからでも分かるはずと思ってつきみの駅に降り立つ。マップファンで調べた場所へ向かうが一向に見当たらない。通りすがりの人に尋ねるとすぐそばだということで?と思ったが、果たして八王子街道のヤマダ電機の向かいに発見した。東急田園都市線と八王子街道がつきみの駅のすぐ手前(渋谷方)で交差しており、切通しになっている線路を道路が陸橋で乗り越す北側にあるという表現の仕方が最も分かり易いだろう。
店内から列車は見えないものの、列車の窓からはわずかに店の外観を見ることが出来る。入ってみると昼はとうに過ぎていると言うのに店内はかなり混雑していた。入り口からすぐそばの禁煙席を確保できたのも奇跡的かもしれなかった。しばらくすると空席待ちのお客さんの行列が出来ており、この店の人気の高さがうかがえる。駅から至近で幹線通りに面したこの店は、東急田園都市線を利用して通勤するサラリーマンの朝食、ファミリー層の手軽な食事処としてすっかり地元に定着しているものと思われる。
最初はシロノワールを2つ注文しようかと思っていたのだが、かなりのボリュームらしいのでシロノワール、サンドウィッチ、ホットコーヒー、アイスコーヒーを注文する。最初にドリンクがやって来た。コーヒーに豆菓子がついてくるのが嬉しい。ホットコーヒーはレトロな感じの背の高いコーヒーカップに入れられている。珈琲美学ABE、イノダコーヒ本店などの老舗のカフェのようで好感が持てる。少し驚いたのがアイスコーヒーがステンレスのカップに入れられていたことだ。アイスコーヒーはガラスの背の高いグラスに入れるものだが、なかなか古式ゆかしい感じがいいではないか!ステンレスカップが少々安っぽく感じられたが、味の方はホットよりもアイスの方がコクがあって美味だった。もしかしたら水出しで抽出しているのかもしれないと思ったほどだ。
さて、シロノワールとは、デニィッシュパンの上にとぐろを巻いたアイスクリームがこれでもかと豪勢に乗っかっているデザートだ。あつあつのパンと冷たいアイスクリームの対比の食感が面白いがあっという間に溶けてしまうので、アイスが溶けるスピード以上に早く食べてしまわなければならないのが惜しい。今度はアイスとパンを別々にしてと注文したいと本気で思っているくらいです(笑)サンドイッチはなかなか出てこなかったが(恐らくシロノワールを食べ終わるタイミングを見計らってくれたのかも)厳選された素材で丁寧に作られている印象を受けた。混雑しているのが玉にキズだが、きちんと分煙されている喫茶店というのは記憶にない。カフェというより、食事をしながら美味しいコーヒーが飲めるファミレスという感覚のこの店、今後の出店には目が離せない。