人吉駅前にある人吉旅館から温泉町にある「たから湯」まではタクシーで行ったが、「たから湯」から「しらさぎの湯」までは徒歩で行ける距離なので歩いて行った。
熊本県湧水百選に選ばれた湧水池を眺めながら頂く鮎料理格別で有名らしい。清らかな水で泳がせ身を引き締めた鯉は、臭みが無く歯応えが良いそうだ。
たから湯から歩いた道沿いには、しらさぎ荘の隣の湧水池から流れ出た小川が流れており、風光明媚な温泉地に期待が高まる。
この温泉は食事処・民宿「しらさぎ荘」によって経営されており、入浴料を母屋で支払い、別棟の浴室へ向かう。
無銭入浴を防止するために、その後入浴券の自動券売機が設置された模様。
お湯は45℃程度の熱めの炭酸水素塩泉だが、通常高温だと炭酸成分が少なくなるはずなのだが、この温泉は入浴すると気泡がバーッと体に付着する。
ここの売りは手を加えていない自然のままの景色を細長い浴槽から眺められることだ。
浴槽内の階段を下りて下る浴槽には薄い黄緑色の少し熱めの極上の湯が満たされている。
このお湯の特筆すべき点は、地表まで自噴している泉源から直接供給されている点だ。
”しらさぎの湯”という名前は、人吉温泉発祥の地の立て看板に見える。
「明応元年(1492)正月、相良氏12代当主相良為続が、お弓始めのため、井ノ口八幡宮に参詣された帰りに温泉町に宿をとり入浴したという記録がある。
その昔、傷ついた一羽のしらさぎが沼のたまりで傷を癒していたのを村人が知り、近寄ってみると温泉が噴き出しているのに気付き、その昔は、”しらさぎの湯”とも呼んでいたという伝説もある。
又今も温泉町に"しらさぎ"という名称が残る由縁であろう。」
訪れた当時、夏草が生い茂る庭には赤い花が咲き、蛇が縦横無尽に動き回っていた。
2020年の人吉水害によりしらさぎ荘は宿泊棟、温泉棟共に全壊してしまい、現在はこの素朴で素晴らしい浴舎は見られなくなってしまった。
新しい泉源も無事に確保され、宿泊、温泉共に営業を再開している。
しらさぎ荘旧建物の解体時に、基礎の下から白蛇が4匹出てきたとかで、このお湯は土地神様にしっかりと守られているみたいだ。