咲花温泉は駅から至近の場所に温泉街が形成されている稀有な温泉であるが、その中でも温泉マニアに根強いファンが多いことでも知られるのがこの柳水園だ。中規模旅館の集合体である咲花温泉の立ち寄り湯の中で多くの方が絶賛している柳水園の湯だけが湯温が高く別格でした。温泉街からちょっと離れて右手の坂道を上った先にひっそりとたたずんでいる奥ゆかしい感じがそそられる。レトロな感じの旅館の受付のおばあさんに入浴を告げるが、耳が少々遠いのか大きな声で何回か話し掛けてようやく気がついてくれた。他の旅館が軒並み阿賀野川の眺望の良さを売りにしている中、この旅館は川も望めない上に浴室からの眺めもたいした事はない。しかしこのお湯は他の旅館のお湯とは違い、純粋に温泉を楽しむために計算し尽くされたのではないかと思うくらいであった。
咲花温泉は分析表上ではどこのお湯も一緒のようですが明らかにここの湯は湯温が高く、同浴の常連さん曰くここは源泉の湯だとおっしゃっていたのが気になる所だ。毎週このお湯に入りに来ているとかで他の旅館の湯に入ったことがないというのもなんとなく納得できた気がする。2m四方くらいの小さ目の浴槽で、シャワー付きカランが2ヶ所あるだけのシンプルでこじんまりした浴室でまるで共同浴場で湯浴みをしているようだ。湯口に飲泉用のコップが2つも置いてあったのもこの旅館だけだということからしてもひょっとして独自源泉?と思わせるものがある。エメラルドグリーンの美しい湯が浴槽の縁から規則正しく流れている様子と庭園の植え込みを交互に眺めていると、しみじみといいお湯であると感動させられる。咲花温泉は一般的には無名ですが、このお湯に入れば草津や野沢に引けをとらないくらい素晴らしい温泉だということを改めて感じさせられました。