ここは「うなぎ湯」として知られる高級旅館啄秀とは対照的な鄙びたお宿です。
鄙びたとは言っても外観はごく一般的な旅館といった風情でした。
ここは地盤の関係で床と扉が平行でない不思議な建物ということでも有名です。
外見からは一見してそんなことは分からないのですが、浴室へ続く廊下を歩きながら部屋を観察すると確かに扉が斜めになっています。
大浴場と女湯の2つがありましたが、誰も入っていないので大浴場を貸切にして親子3人で入らせていただきました。
浴室に入って観察すると扉だけでなく浴槽自体も斜めになっているような何だかトリックアートのような不思議な感覚にとらわれます。
湯先案内人の屋代さん曰く「ここに最初に入ってしまうと、インパクトが強すぎて…」というのも入ってみて納得出来ました。
数々の入浴体験者から激熱の湯と評されていたので子供は無理かな?と思っていたら比較的適温で助かりました。
特筆すべきなのは、驚くべきヌルヌル感です!うなぎ湯として知られる鳴子のゆさやの比ではありません。
かすかに硫黄臭のする薄い抹茶にミルクを混ぜたような色のお湯は白い湯の花も浮かび、体にねっとりとまとわりつくような感覚があります。
源泉温度が100度と高温の為お湯の投入量だけで温度管理をしているので鮮度はいまいちかもしれませんが、満足度は非常に高く中山平でははずせないお湯のひとつです。
一部の温泉ファンの間でのみ有名だからかもしれないが、ここのお湯はいつも空いていて貸切に出来る確率が非常に高いのでお湯の状態は良好な場合が多いと思います。
素泊まりの宿なのだが、昼食付の入浴も出来るそうなので次回はじっくり腰を据えて堪能してみたいと思います。
以前から不定期に休業を繰り返し何度か復活を遂げていますが、数年前の雪で玄関直上の客室部分が崩落してしまい、現在休業中ですが復活は難しいのではないでしょうか?
丸進別館の別館という名前が気になっていましたが、鳴子温泉駅前に廃業した丸進という旅館があるのを偶然見つけて、ここが本家なんだと確信しました。