ここは温泉博士の郡司 勇氏が著書で「強烈な泡つきが見られるビロードの湯」と絶賛している。周りにはほとんど建物がないだだっ広い土地に位置する為、訪れるのはほとんど地元の方ばかりだそうだ。ここは民営で近くの老人ホーム「あさひホーム」と同じ経営なので、車で行かれる方は老人ホームを目印にして行くといいかもしれない。建物は温泉施設としては小さめながら、入口右横に描かれた温泉マークが温泉に対する絶対の自信を表している様で入る前から期待が高まる。
エメラルドグリーンの浴槽に源泉が掛け流しにされていて、浴室の床にかなりの勢いで流れ去っているので湯量の豊富さが一目で分かる。お湯の綺麗さは多くの人の折り紙付きなのだが、日の光りが当ることでその美しさはパワーアップする。大量に存在する気泡のせいか、日光が乱反射して見る角度によって湯面が虹のように見える。窓が広く開放的で明るい浴室なので、いっそのこと可動式の半露天式にしたらいいのではないかと思うくらいだ。洗い場に立つと富士山が正面に見えるらしいが、お湯の良さばかりに感心していたので全く気がつかなかった。窓の外には不自然にスペースが開けていて、露天風呂を増設するのかな?と思っていたら、露天風呂が出来るとか出来ないとか言う話を聞いたことがある。
湯口付近では強烈に泡付きが感じられ、硫黄臭と金気臭も感じられた。湯口で飲泉してみると塩味に金気味の他に様々な成分が交じり合ったようなな複雑な味を感じられた。泡付きは近くの山口温泉よりも強烈であり、体にまとわりついた泡がまさにビロードのようだ。大月短期大学地球科学研究室の田中収教授の論文によると静岡〜糸魚川構造線に2本の温泉断層が重なった、地下1200mの断層破砕帯の石英閃緑岩より湧出した非常にユニークな温泉とのこと。石英閃緑岩とはいわゆる水晶のことで、入浴すれば水晶のパワーを体内にとり込むことが出来るかもしれない。
源泉持ちかえりOK、休憩室は飲み物食べ物持ち込みOKでなんでもありの太っ腹の温泉だが、休憩室が手狭なので地元以外の部外者が利用し辛いケースが多いそうだ。最近は郡司氏の著書のおかげで次第に名が売れてきたので日によっては混み合うこともあるそうだが、露天風呂などを増設せずにいいお湯の使い方をいつまでも続けてもらいいものだ。