湯治宿でありながら頼めば食事を出してくれる宿はなかなかありそうで少ない。
また1万円を切る宿泊料金、2食付きで食事がおいしい、お湯がいいという3拍子がそろったそういう宿は驚くほど少ない。
そうした中でこの宿は女将さんの心のこもった手料理が大変評判の宿ということで今回の鳴子のベースに決めた。
隣には人気の東多賀の湯があるせいか、立ち寄り入浴のお客さんは比較的少なく、ゆっくり出来るお湯である。
外見は結構立派なのだが、中に入ると廊下や階段はぎしぎししており、鄙びつつある過程にある。
男女別の浴室は割とこじんまりとした大きさで、カランやシャワーなどいっさいないシンプルな造り。
鮮やかな薄緑色に濁った硫黄泉で白い湯の花も大量に舞っている。
東多賀の強烈な硫黄臭いとは異なり、ほのかな硫黄臭で柔らかく肌に優しい感じを受けた。
部屋は通りに面した2階の長い廊下沿いに並んでいる。湯治客のタオルがたくさん干してあり、かなりの湯治客が泊まっていた模様。
湯上りに廊下の椅子でくつろいでいると、少々車の騒音が気になったが、夕焼けから日没までぼーっとするには最適な環境だ。
夕食は6時前には部屋まで運ばれる。夕食には時間が少し早いが、湯巡りでおなかが空いている身には丁度良い頃合いだ。
それほど手の込んだ料理ではないが、作りたてで温かいものが並び、質・量ともに納得出来た。
部屋には炊飯器、電子レンジ、冷蔵庫、流し、ガスコンロ、食器、鍋、やかん、フライパン完備なのでもちろん自炊することも可能。
相談すれば夕食のみ、朝食のみというのも可能かと思われます。女将さんは大変品のいい感じで、昔はかなり美人だったと思います。
部屋数が9室と少ないので、女性やカップルを優先するという宿の方針だそうだ。
静かに湯治を楽しめる宿としてここはかなり気に入りました。本当は人に教えたくないくらいです。