ここは、外来不可なので、全くのノーマークだったが、急遽連れて行ってもらうことになった。
大正元年開業の自炊湯治専門の宿で、湯は鉄分・炭酸を多量に含んだナトリウム-炭酸水素塩泉(自家源泉)と
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物硫酸塩泉(赤湯源泉)の2種類がある。
全国より湯治客が訪れ、数年前から鳴子町立温泉病院と提携しており、湯治をしながら温泉リハビリを行う方も多いそうだ。
そのせいか浴室の前の廊下はまさに昔の病院を思わせる雰囲気で、看護婦さんが現れても違和感がないと思う。
まず案内されたのは自家源泉の小浴場。浴室の階段を下りていく構造は、足に障害のある人にはつらいのではないだろうか?
などと思いながらお湯を遠めに眺めると黄土色に濁って見えたが、黄土色の湯の花が豊富に含まれていた。
自家源泉を混合しているが、もう一方のお湯は無色透明で赤湯源泉に似た感じだった。
なめてみると炭酸が含まれているせいで、酸っぱい感じがした。
屋代さん曰く、このお湯はやや温めであるが、足に障害を持つ方には大変効能が高い温泉だそうだ。実際この湯は長く入っていると湯あたりを起こすそうだが、確かに湯上りはぽかぽかと暖かさがいつまでも残った。
帰りがけに、宿の泊り客を潟沼見物に連れて行って帰ってきたというこの宿のご主人にお会いした。
感心なことに湯治が趣味だとかで、時々遠くは九州まで湯治に出掛けることもあるそうだ。
初めて本格的な療養湯治の宿にお邪魔したのだが、やはりお湯の質が大変高く、いかにも効きそうな印象が残った。