ここは地元住民専用の共同浴場であるので入浴不可なのだが、
鳴子の温泉案内人屋代さんの案内で入った方々の口コミで大変素晴らしい温泉だということで非常に楽しみにしていた。
田んぼの手前にある小屋がけの建物であるが、傍目では農耕具などを収納する物置小屋にしか見えない。
しかし、中に入ると畳敷きの脱衣所があり、意外とちゃんとした造りになっている。
しかし蛍光灯が割られて浴槽の中に突っ込まれたこともあったそうで、他にも心無い利用者に荒らされたこともあるそうだ。
今の所、部外者でどうしても入りたい場合は、屋代さんに案内をお願いするしかない。
そそくさと服を脱ぎ、浴室へ向かうと透明な湯が湯口からとうとうと流れている。
屋代さんがここはモール泉だと力説していた通り、確かにお湯はぬめっとした感じで、モール泉独特の臭いも感じられた。浴槽を見ると温泉の成分がこびり付いており真っ黒になっている。
特筆すべきなのは湯量の豊富さで、裏手にそのまま豪快に捨てられているのがもったいないくらいだ。
温めの湯が大好きな私は大変気に入ったので、いつまでも入っていたい衝動に駆られた。
実際の入浴時間は5分足らずだったが、田んぼの真っ只中というこの唐突なローケーションと建物の鄙び加減も相まって
これぞ秘湯!と久々に呼べるお湯に巡りあった気がする。