200円で外来入浴を受け入れている共同浴場的な歴史のありそうな旅館。
2000坪の日本庭園は自然の山を借景としており、川渡温泉の中でも一番風格を感じさせる。
最初に覗いた時は、200円のお湯が清掃中とかで300円のお湯もあるそうだ。
こちらは別源泉の宿泊客専用のお湯なのかもしれない。
玄関に入ると、スリッパの山が大きな規模の旅館であることを物語っている。
かなり大きな浴室で、浴槽も広々としている。
ここのお湯は確か濁った緑色だったはずだが、
それは午後に撮影された写真だから時間の経過に伴い変色したものだと分かった。
何故なら、今はお昼前で浴槽の半分もお湯が張られていない状態で、色は濁った灰白色だからである。
白い湯の花に混じって黒い大きな湯の花が見られ、これで濁った緑色の湯なら申し分ないのだが。
濃厚な湯を想像していたのだが、意外とあっさりしており拍子抜けしたが、それは川渡の他のお湯と相対的な評価である。
色にこだわる訳ではないのだが、朝一番と夕方に入り比べてみたらここのお湯は多分印象の異なるお湯なのだろう。
川渡特有の激熱の湯でないのは不思議だったが、それは脱衣場に掲げられていた温泉分析表を見て納得した。
高温の湯と冷泉を混合して湯温を調節しているのだ。
湯温を下げる方法にはいろいろあるが、単純に加水するのではなく、冷泉を使うのはいいアイデアだ。
適温の湯、広々とした浴槽が地元の方のニーズにもマッチしており、
浴槽には常に四、五人は入っているという人気の高さにつながっているのだろう。
温泉サイトで取り上げられることの多いこのお湯は、川渡の第二の共同浴場的存在と言えよう。
湯から上がって外を歩いていると今朝見かけたトラックの荷台にはずらりと子供が乗っており、
笛や太鼓を賑やかに演奏している。聞けば各旅館をトラックの荷台に乗り、移動するというスタイルのお祭りだそうだ。
この日は行く先々で祭りに出会い、川渡温泉の湯巡りは大変印象的なものとなった。