東鳴子温泉の北側の川向こうにあるこの旅館は、鄙びた自炊専門の宿でひっそりとたたずんでいる。
このあたりから湧き出すお湯の色が赤いので、古来赤湯とか赤這という地名になっているそうだ。
宿の前にある大きな看板で赤這温泉と名乗っている所に、温泉に対する自信のほどが現れていると思う。
朝一番で向かったのだが、向かって左側の女湯(硫黄泉)が清掃中だったので、入浴料だけ先払いして出直すことにする。
若女将の素敵な笑顔が印象的だったが、再び訪れると応対してくれたのは宿の主人と思しきおじいさんだった。
木造の古びた廊下を左手へ歩いていった先に2つの浴室が並んでいる。
右側が男湯(赤湯)、左側が女湯(硫黄泉)と分けられているが、空いていればどちらに入っても問題なさそうだ。
まず名物の赤湯に入ってみることにする。姥の湯でもそうだが、鳴子で単純泉と言ったら鉄泉を指すのでは?と思わせるほど
金気臭いが鼻につき、お湯の色も赤茶けており、この泉質で単純泉を名乗っている方が不思議なくらいだ。
温めの適温の湯の為、じっくりつかっていたくなるような感じの気持ちのいいお湯。
茶色い湯の花も浮かんでおり、あまり知られていないだけに隠れた鳴子の実力派と言えよう。
赤泉から出てくると、丁度硫黄泉から泊り客と思しき夫婦が出てきたので、こちらにもすぐに入ることが出来た。
かなり源泉が高温の為、かなり加水されているものの、白濁しており硫黄臭の他に石油臭がする所がいかにも鳴子らしい。
硫黄泉と言っても石油臭がする温泉は、未だかつて入ったことがない。
この旅館のお湯のどちらが好きか好みが分かれる所であろうが、個人的には硫黄泉が好きなので硫黄泉に一応軍配を挙げておく。有馬温泉では鉄泉を金泉、炭酸泉を銀泉と呼んでいるが、ここの旅館の湯を鳴子の金泉・銀泉と呼んでみたいものだ。案内をしてくれた屋代さんによると、東鳴子温泉の某旅館へ引いている源泉がこの近くにあるということだ。
奥の浴室の2号の湯量が著しく減ってからは、2号と3号の混合泉で運用していましたが、2014年2月から新たに1号泉(単純泉)の湯を出しましたので、現在は1号と3号の混合泉で運用してます。