上野原休憩所から坂を数キロ上がって行き、看板の表示に従って右折するとのよさの里である。ここは、本家と呼ばれる管理棟を中心として放射状に延びる廊下で繋がっている分家と呼ばれる宿泊用の離れの他に露天風呂もある。隣接してキャンプ場もあり、案内図を見るとかなり広大な敷地を持っていることが分かる。本家と呼ばれる管理棟には内湯もあるのだが、狭いということなので今回はパス。ここの売りは何と言っても鳥甲山を正面に見ながら入る露天風呂だ。鳥甲山は断崖絶壁で知られる谷川岳にも勝るとも劣らず、切り立った峻険な山容でアルピニストには有名な山である。ここからの眺めは、山梨のほったらかし温泉から見える富士山の眺めに次ぐくらいの素晴らしさだ。
脱衣所と露天の境の扉を開けると、そこには想像以上の絶景が広がっていた。思わず「おおー!」と声を上げ、靴下が濡れるのもかまわず走り出したほどだ。男湯からの眺めは良いのだが、女湯の左前方にはボイラー室らしきものがあり、眺めは男湯ほど良くないそうだ。加熱しているのであろうか湯は熱めである。加熱している露天はややもすると熱過ぎる傾向があるが、果たしてここもそうであった。小さな虫の死骸がたくさん浮かんでいて、ちょと気持ちが悪い。朝早い時間とは言え、清掃はしっかりやってもらいたいものだ。しかも湯は循環みたいで、オーバーフローは全く見られない。素晴らしい眺望がゆえに評価は高くつけざるを得ない、というのが本音だ。
ひとつだけ気になったことがあった。せっかく管理棟から露天まで屋根付きの廊下で結ばれているのだが、露天の入り口は別にその通路を通らなくても入れてしまうことだ。料金を払う管理棟からはかなり距離が離れているので、無断で立ち入ろうと思えばいくらでも出来てしまいそうだ。結東温泉 萌木の里でも思ったのだが、露天の入り口を料金を払わなければ入れないシステムにすべきだと思う。