我々2人が本日泊まるつまごい温泉 山田屋旅館を残すのみである。
万座・鹿沢口駅からは車で5分くらいの距離にある、宿の前にはかつて草津と軽井沢を結んでいた草軽鉄道の嬬恋駅があり、
いかにも鉄道敷地跡と思しき空間が広がっている。
最近知ったことだが、ここの旅館の旦那さんはかつての嬬恋駅の駅長さんだったらしい。
駅跡らしき場所からは、驚くべきことに貴の湯の源泉らしきものが出ていた。
これぞ日頃鉄道と温泉の融合を目指している者にとっては、飛び上がらんばかりの出会いだった。
触ってみると冷たいが、口に含んでみると確かに温泉の成分が含まれているような気がした。
山田屋旅館が源泉として使用している貴の湯は、ボーリングにより掘り当てたものであり、道端の源泉とは別のものであろう。
とにかく部屋へ入る前に、露天へ向かった。なぜかと言えば露天からは、眼下に吾妻線の列車を眺めることが出来るからだ。
Rさんの乗った万座・鹿沢口発16:20の新特急草津8号をカメラに収め、列車に向かって手を振った。
こんな機会は滅多にないので、Rさんに手を振るのを言っておけばよかったと後悔した。
肝心の露天のお湯は循環との噂もあったが、内湯で使われているお湯を少し加熱しているように感じられたが、循環ではないと思う。
確かに内湯に比べて薄まっているが、鉄道ファンにとって眼下に線路が見えるだけでわくわくしてくるものだ。
突然ですが、ここで鉄道を眺めながら入れる温泉ベスト3を発表します。
1位 平磯温泉 銀鱗荘 露天岩風呂(混浴)からは雄大な日本海と函館本線の列車が同時に楽しめる
2位 湯野上温泉 清水屋 露天風呂のすぐ脇を野岩鉄道の列車が通り過ぎるのは圧巻
3位 つまごい温泉 山田屋旅館
男湯の露天から吾妻線の列車が間近に見える
Hさんが帰る頃を見計らって一旦出て来て、玄関前で記念撮影をして分かれる。
部屋に入り、少し休憩してから再び宿のお湯へ入る。
もうひとつの期待していた樽風呂は、さら湯?に生薬を混ぜた「美白の湯」と名付けられたお湯で、内湯とは全く違う白濁したものだった。
甘い香りが漂っていた。ここは貸切にすることも出来るのだが、どうして源泉をそのまま使わないのだろうか?
ちょっとがっかりして内湯へ向かうと、先程とは打って変わって、近在の入浴客で込み合っている。
内湯には黄土色の濁った湯が豊富に使われている。茶色い湯の花がたくさんの舞っており、見た目にも成分が濃そうなお湯だ。
丁度入りやすい湯温で、とてもよく温まる。しかし、ずっと浸かっているとかなりの入浴感があり、湯疲れを感じた。
浴感が大変強く湯あたりしそうなお湯で、東鷲宮の百観音温泉に似た感じのパンチの効いたお湯である。
のぼせない様に露天と内湯を行ったり来たりして最後に、併設のサウナで汗を流す。
ここで出会った地元のおじさん達に今日の湯巡りのことを話すと、半出来と平治しか分からないと言う。
大前駅前の嬬恋温泉 つまごい館をすすめられた。大前駅はJR乗り潰しの際に降り立ち、
駅前に湯気の立ち上る温泉旅館があるのを目撃しているが、その時は温泉にそれほど興味がなく、早朝だった為未湯である。
終着駅の駅前に温泉旅館があるのは恐らくここだけであろう。
吾妻線沿線は何度となく立ち寄っているが、列車利用ではここは立ち寄り入浴は事実上不可能である。
大前〜万座・鹿沢口は、日中の列車の本数が極端に少ない為、列車利用で入浴するには宿泊するしかない。
泊り客は我々二人しかいない模様で、夕食は脂身の多いとんかつがメインだった。
女将さんが出掛けているそうなので、(ということは旦那さんの手によるものなのか?)
まあこれくらいの料理なら格安の宿泊料金なので納得できるものだった。
部屋はまだ新しく広々としている。本来ここは団体向けの部屋なのだろうか?
怒涛の湯巡りのおかげで昨夜は食事を食べ終わった後、横になった途端に寝てしまった。
おかげで翌朝は早く目覚め、内湯と露天を独り占めにしてのんびりとお湯に浸かることが出来た。
翌朝は宿のお嫁さんも戻ってきたようで、セルフサービスではあるがなかなか充実した朝食だった。
広い食堂で二人だけというのは、もったいない感じだ。もっとも平日に泊まる客も珍しいだろう。
なお画像につきましては、PCのクラッシュに伴うデータの損失に伴い永らく公開できませんでしたが、聖婆様の提供により公開できましたことをこの場をお借りしてお礼申し上げます。
それにしても男湯の露天から撮った新特急草津8号の画像がなくなったのは痛い。
露天風呂と列車の撮影の為にもここは是非とも再訪したいものだ。