行程表中太字で記載の温泉は実際に入浴した所。細字の温泉は外観の見学のみ。
(注)温泉名 施設名 料金 営業時間 定休日
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今回の湯巡りは、草津の湯畑で行われる年に一度観光客を対象にした湯の花採取の取材から思い立った。
草津は何度も訪れているので、今回は吾妻線沿線の温泉を巡ってみた。
某掲示板で親しくお付き合いさせていただいている、九州のRさんと埼玉のHさんには本当にお世話になりました。
特に初日はHさんの車でたくさんの温泉を廻ることが出来た事を、この場を借りまして、お礼を申し上げます。
草津へ鉄道で行くには様々なパターンがありますが、今回は湯の花採取に間に合うように高崎まで朝一の新幹線を利用した。
この長野行新幹線あさま501号は何度か利用しているのだが、車内温度が夏でも冬でも高めに設定されているのが気になる。
いつも生暖かく感じられ、暑がりの私としては今回もかなり暑く感じた。
高崎で下車すると、向かいのホームには東京行きの2階建ての新幹線が停車していた。
新幹線改札口からは驚くべき数の通勤客が、新幹線ホームへ向かっているのに鉢合わせた。
これだけの新幹線通勤客がいるという事実が、2階建ての新幹線という代物を登場せしめたことを感じさせる。
新幹線で高崎から東京まで50分程度であれば、時間的には通おうと思えば十分通える。
あとは定期券代を会社がどれだけ負担してくれるかどうか、という問題になってくる。
高崎駅で吾妻線へ乗り換える際に、ホームの降り口の所に沿線の温泉の紹介がされているので撮影しておく。
改めてこの沿線には温泉が極めて多い。これだけの観光資源を放っておく手はない。
数年前にJR東日本が「効能温泉 吾妻線」というキャンペーンをやって好評だったのを思い出す。
特に草津温泉の宿の女将さんの顔写真のポスターは、全国的に注目を浴びたそうだ。
関越自動車道経由の高速バス「上州名湯めぐり号」というライバルがいるが、所要時間では吾妻線直通の特急には到底かなわない。
望むらくは特急車両と呼ぶには陳腐化した「新特急草津」185系を新型車両に置き換えてもらいたいものだ。
JR唯一?窓の開く特急車両として、それはそれで希少価値があるという見方もあるにはあるが…
季節列車としてスキーシーズンなどには「特急リゾート草津」、新宿発吾妻線直通の快速列車などが運行されている。
特に後者は首都圏在住の人間にとって安くて大変便利であるので、週末のみの運転で通年運行にしてもらいたいものだ。
もっとも帰路は、上記の「上州名湯めぐり号」を利用することがほとんどである。
吾妻線の鈍行列車は、中之条・群馬原町までは通学客が圧倒的に多く賑やかだった。
群馬原町を過ぎると車内はがらがらになり、先程までの喧騒が嘘の様だ。
沿線には積雪はなく、梅の花が満開で、上州の春も今年は早くやって来そうだ。
川原湯温泉を過ぎたあたりで、進行方向右側に最近出来たばかりの温井温泉 岩陰の湯らしき建物を発見する。
ここは前回通りかかった時に、明らかに温泉の建物だと話ていたのだが、最近になってネット上で情報が載っていた。
長野原草津口から草津温泉への道すがらは、積雪はまったくなくこちらも春が近いことを予感させる。
草津温泉のBTでは、待ち合わせていた温泉友達のRさんと初めての対面を果たす。
Rさんから別府温泉本というガイドブックをお土産に貰い、また九州へ遠征したくなる。
もう一人待ち合わせているHさんはまだ到着していないので、湯畑で行われる湯の花採取の受付となっている熱の湯へ向かう。
9時から受付が始まっており、Rさんは(去年も参加したのだが)急遽参加することになり、すでに10番のワッペンを持っている。
自分もなんとか受付に間に合い、34番目であった。限定50人ということだが、平日のせいか人出は思いの外少ない。
湯畑の湯を桶に汲んだり、宮司さんが登場してうやうやしく儀式が取り行われていく。
もう少し観光色豊かなイベントだと思っていたのだが、意外と地味な行事で、宮司さんが淡々と仕事をこなして行く。
そうこうしている内にHさんが到着し、無事会うことが出来た。
儀式が始まって20分くらいして、ようやく5人ずつぐらいが湯畑の中に入って行く。
自分達で勝手に採取すると思いきや、ちゃんとやり方を教えてくれる人がいてマンツーマンで採取を行っている。
Rさんは2巡目に湯畑に入って行く。目立ちやすい人物のせいか?テレビカメラがぴったりと寄り添って取材を受けている。
アップの写真を撮ってあげようと思うのだが、取材のカメラマンの死角になってしまい、UPの写真はうまく撮れない。
簡単に終わると思っていた湯の花採取だが、観察していると結構手間がかかる作業の様である。50人限定というのも納得出来る。
自分の順番までにはかなり間が空いているので、RさんとHさんはあらかじめ手配していた「草津館」さんへ入浴しに行く。
自分は特にする事がないので昼食の場所を探しに行くが、平日の為か営業している店を探すのが難しい。
やっと自分の出番が廻って来て、いよいよ湯畑に入る。
実は前日に100円ショップでレインコートを買ったのだが、何のことはない主催者側でちゃんとビニールのレインコートを
用意してくれていた。それでも自前のレインコートの上にビニールのレインコートを羽織る。
早速作業を開始したのだが、レインコートのボタンを締めるのを忘れてしまい、自前のレインコートが少しだけ汚れた。
怪我の功名だが、これだけでも自前を用意しておいた甲斐があった。
場所によって湯の花の残っている量にばらつきがあるらしく、自分の所はほとんど残っていない状態だった。
これはちょっと不公平な気がした。当然最初の方にやった人やたくさん残っている場所がたくさん湯の花を採取できる。
インストラクターのお兄さんが「全然ないなあ」なんて嘆いているくらい、量が少なかったんです。
参加者に湯の花が均等に行き渡る様に、もうちょっとやり方を変えてみてはどうかと思った。
湯の花採取のやり方は以下の通りである。木製の四角い器具で湯畑の樋の中に溜まっている湯の花
(私の場合はほとんどクリーム色をした液体がほとんどだったが)を掬い、用意された布の袋に流し込んで行く。
そして湯の花が十分溜まったと思われた時点で、布の袋で絞って余分な水分を捨てる。
一番気を付けなければいけないのは、この絞る作業である。まずはインストラクターのお兄さんが手本を見せてくれる。
恐る恐る絞ってみるが、力を入れて絞らないと袋の中の水が飛び出して大変なことになるそうだ。
仕上げには湯の花採取専用の台の上に、円錐形をした袋の上から湯の花を押し付ける。
これは袋の中に残った水分を捨てる作業であるが、体重をかけて真上から押し付けるのがコツだ。
どうして売られている湯の花が円錐形をしているかと言うと、この作業に由来すると言われている。
ようやく湯の花採取を終え、昼食を食べに西の河原通りの「極楽館」さんの2階にある「Neue Post」へ向かう。
この宿は自家源泉の大日の湯を持つが、外来入浴は不可となっている。
昼食を食べればもしかしたら入れるのでは?とRさんが果敢に店主にアタックを試みるが、あえなく撃沈。
店の看板メニューであるハウスサンドとコーヒーなどを注文し、Rさん、Hさん、私の3人で今日の日程の調整を行う。
草津は明治時代のベルツ博士の影響で、街中にドイツ語の飲食店が何軒かある。
「succes」「ぐーてらいぜ(gute reise)」とこの「Neue Post」である。
ちなみに私は大学でドイツ文学を専攻していたので、そういう点でも草津とは因縁浅からぬ仲である。
はす向かいにある「するがや」で上州の温泉限定発売のキティちゃんのハンカチを見つけ、コレクション用に確保しておく。
湯もみをしているキティちゃん(草津)が真中にあり、階段をそぞろ歩くキティちゃん(伊香保)、
川沿いのホテルの窓から顔を出しているキティちゃん(水上)、薬師堂で記念撮影をしている?キティちゃん(四万)と
各温泉の情緒をうまく表現しているデザインで、温泉好きにはこたえられない。
有名な温泉のサイトの方がコレクションしているのを知って、温泉バージョンがあれば自分も集めようと思っている。
バスに乗り込むと、突然の驟雨で驚かされる。今日の午後は晴れたかと思えば、雨が降り出すという天候が続いた。
バスで長野原草津口へ戻り、Hさんの車で湯巡りを開始する。まずは川原湯方面の4湯を攻めるべく車を東へ走らせる。
最近は八ツ場ダム建設の為に各所で国道145号線から川をはさんで対岸の地域で工事が盛んである。
新しい橋や新しい道が次々と出来ており、持参の地図では新しく出来た温泉の位置を知ることはまず不可能だ。
ここで活躍したのが、Rさんが温泉仲間のTさんに借りた八ッ場ダム工事事務所作成の観光案内の冊子だった。
温泉のみならず道祖神などまでが詳細に記載された優れものである。
まずは天狗の湯。ここは地元専用と言われていたが、最近になって地元民以外にも開放されたそうだ。
温泉の前には本数こそ少ないものの循環バスの停留所があり、地元の老人の足はしっかり確保されている。
黒と茶色の湯の花が浮き、Hさん曰く「この界隈では一番の湯」という評判とおりの適温の掛け流しのいいお湯だった。
この後訪れた川原湯付近の3湯とは違い、管理人が常駐しており、駐車場も完備しておりおすすめだ。
次は最近出来たばかりの温井温泉 岩陰の湯へ向かう。
国道を曲がる所にあるはずのラーメン屋の看板が古びており、通り過ぎてからやっと気が付く有様だった。
引き返す途中に例のガイドブックの発行元と思しき八ツ場ダム広報センター「やんば館」の建物があったので立ち寄る。
果してそこは、ダムの建設に関する展示スペースになっており、入り口に例のガイドブックが置いてある。
ガイドブックだけ貰って帰ろうとすると、展示物を見てくださいと促され中へ入る。
学術的なことばかりだろうと思っていたら、扉を開けて川原湯の自然の紹介するコーナーは子供向けではあったが、なかなか面白かった。
ガイドブックを眺めてみると、Tさんは我々の今日の行程のほとんどを徒歩で廻ったというから驚きだ。
かくいう我々も数年前に長野原草津口〜王城山(登山)〜川原湯という行程であるいたことがあり、このあたりの土地鑑は若干ある。
温井温泉は国道から山側に上がった所にあり、看板も何もないが、建物の造りからしてここが温泉であることは明らかである。
温泉の建物やポリ浴槽や給湯方法はこの後に訪れた2湯と全く同じで、ハード面では少々面白みには欠けた。
給湯は塩ビのパイプの中程に穴が開いており、そこから湯が供給されている。
実際に浴槽に供給されているのは湯量の1割ほどであろうか?お湯の大半はそのまま捨てられてしまっており、もったいないことだ。
設備を安く上げる為、このような簡素な構造にしたのだろうが、熱すぎて加水しなければ入れないようでは本末顛倒ではないだろうか?
このことはこの後に訪れた2湯に共通して言えることだ。
費用はかさむだろうが、草津の共同湯のようにバルブを開閉して湯量を調節できるのが熱い湯の場合の理想である。
林温泉 かたくりの湯は王城山の登山口近くにある為、数年前に見かけている筈だがその時はそれほど温泉に興味がなかったので
トイレか何かだろうと思っていた。しかし、温泉巡りをしている内に経験を積んでくると
全述のとおり建物の造り(屋根に換気用の通風孔があるもの)を見れば、そこが温泉であることを見分けるのは比較的易しい。
ここはなんと言ってもすごくお湯が石油臭い、そしてものすごく熱い。これほどのインパクトのあるお湯に出会ったのは久々である。
足を入れることさえ出来ない為、私は桶で湯もみをし、Rさんはホースで加水して湯温を下げようと試みる。
その間に地元のご老人が入ってきて、塩ビの雨樋を給湯口に差し込むようアドバイスをいただく。
ご老人に指摘されて初めて、以前この温泉に入ったことのある方のHPでこのことが書かれていたのをやっと思い出した。
10分くらいその作業を続けて、なんとか入れるくらいの温度まで下がった頃にRさんは時間切れとばかりに退散してしまう。
あまりの湯のインパクトに自分は立ち去りがたく、その後僅かの間ご老人と一緒にこの湯を堪能した。
湯から上がって車へ戻ると、右手の人差し指と左足の爪の部分が軽い火傷を起こしていたことに気が付く。
温泉で軽い火傷を負ったのは七味温泉の湯元牧泉館以来のことである。
もっとも湯元牧泉館の露天の湯口は湯元に近くほぼ100℃に近かったので、今回は気合を入れすぎて
桶で湯もみをしたのがたたった。
横壁温泉は林温泉とは川を挟んで対岸にあるのだが、本当に分かりにくい所にあり、ガイドブックなしではまずたどり着けないだろう。
民家に隠れるようにひっそりとあるので、地元以外の人が見つけるのは至難の技であろう。
しかし、ここをガイドブックなしに探し当てた温泉の達人は、それこそ神業としか言うしかない。
ここで、全員が小銭不足に陥り、Rさんがまとめて千円札を入れてまとめて支払う。
管理人がいる所は問題ないのだが、無人で料金箱のみが置いてある温泉はあらかじめ小銭の用意が不可欠である。
周辺のお湯と同様熱いことは熱いのだが、先程とは比べ物にならないくらい温く感じる。
先程のタイムロスを補う為に手早く浸かって、そそくさと立ち去ることにする。
半出来温泉 登喜和荘は吾妻線の袋倉駅とは川を挟んだ位置にあるが、木やトンネルが邪魔になって列車からは見ることは出来ない。
国道145号線には大きな看板が連続するカーブの間に見えてくるので、見つけるのは至極簡単である。
面白い名前だが、決して温泉が未完成なのではない。地名が半出来であり、農作物の生育が悪いことから付けられたそうだ。
時計を見ると、Rさんのタイムリミット(万座・鹿沢口 16:20の新特急草津8号)までそれほど時間は残っていない。
折りしも雷が轟音を立て始め、今にも一雨降ってきそうだ。
ここは以前から憧れの温泉で、自分としては、じっくり時間を掛けて湯巡りがしたいのだが、温泉を目の前にして入らない手はないので、からすの行水でも良いのでRさんと一緒に入る。
ここは、混浴の露天風呂が有名であるが、浴室を出て50メートルあまり素っ裸で歩かされるので女性陣はさすがに回避した。
旅館と言うよりも民宿の風情であり、一浴を申し出ると飾りっ気のないおばさんが応対に出てきた。
ゆっくりしている暇がないので、二人とも自然と早足で浴室へ向かう。内湯は後回しにして、肝心の露天へ向かう。
コンクリートの床が滑りやすく、思わず転びそうになりながら庭先へダッシュする。
どうしてこんなに離れているんだろうと思う。普通の旅館だったら絶対服を着替えて行く距離である。
しかし、露天の透明な温めのお湯に浸かると幸せな気分になった。こちらが源泉に近いのだろう、泡のつきがすこぶる良い。
周りには人工物がほとんどなく、あるのは対岸の袋倉駅に渡る橋しか見えない。
川面を渡って吹いてくる風が心地良く感じられ、いつまでも入っていたい気がした。
しかし時間は限られているので、併設の樽風呂に浸かる。こちらの方が湯量が少ない為か湯温が高く、極上の気分にひたれる。
再び、庭先を歩いて内湯へ戻る。浴室の壁が苔むしているという情報もあったが、きれいにしたのか、それほど鄙びた感じではなかった。
ここは、すっぽん料理が格安で食べられる貴重な宿なので、いつかは宿泊して、露天風呂にずーっと浸かってみたいと思った。
次はいよいよ玉砕覚悟の平治温泉です。ここは幾多の温泉の達人がチャレンジしていますが、たどり着けなかったり、
たどり着けても施錠されていたりして、何人も玉砕したと聞いてます。
限りなく地元専用に近い(というか一般には知られておらず、余程の温泉好きでないとすすめられない)が、料金を払えば
外部者の入浴を認めているので、チャレンジしてみた。
この温泉の場所やアプローチに関しては、Oさんよりメールで詳しく教えていただいていたので、途中まではすんなり行けた。
しかし、最後の詰めの所で肝心の温泉らしき建物が見つからない。
低い場所にあり、なおかつ木立や建物の陰になっており、探し出すのは至難の業であろう。
しかし、私以上に詳細な情報を得ていたと思われるRさんは、すたすた歩いていき、難なく見つけてしまった。
噂どおり掘建て小屋で、これぞ秘湯中の秘湯と呼ぶにふさわしい風格すら漂っている。
中に入ると下駄箱があり、女湯の方はしっかりした扉があったが、男湯の脱衣場との境方はなんとカーテンである。
七里田温泉の下湯を思わせる鄙びた雰囲気で、服を脱ぐ手が武者震いしてきそうだ。
中は意外と広く、浴槽は5人くらい同時にはいれそうだ。
総木造りで、まさに昔ながらの(そんなに古くはないが)温泉を具現化している!
惜しむらくは湯口から出て来るお湯がすぐに浴槽の縁から溢れ出してしまっていることだ。
何が惜しいかと言うと、炭酸ガスの泡の付きが驚くほど良いのである。
対岸のはるか彼方の上の方からホースでお湯を引いているのだが、源泉は恐ろしくガスの濃度が濃いのであろう。
温めで泡付きで、この雰囲気だったら何時間でも入っていたい気がしたが、そうも行かないので早々に立ち去る。
浴室で一緒になったおじさんに「もう出るのか?」と驚かれ、Rさんは「電車の時間があるので」と説明する。
Rさん自身も、ここにはもう少し浸かっていたいという気持ちが表情から現れていた。
Rさんも私もお互い無口な方で、お互いあまり会話を交わさなかったが、
私に向かって「明日の朝また入りにくれば?」と問い掛けてくれたことからも、彼がここをかなり気に入ったことが分かった。
早めに上がったので、女性陣はまだ出てこなかったので、建物の周りを一周してみる。
しみじみ眺めてみると、国道に近いとは言え、あまりに周囲から隔絶された場所にぽつんとあるので、仮に
発見したとしてもここが温泉であると分からない。ぱっと見はありふれた物置と言った感じである。
Rさんは16:20の新特急草津8号に乗るべく、万座・鹿沢口駅へ立ち寄り、全員で駅をバックに記念撮影をして別れる。
Hさんは、翌日山梨県の某温泉のオフミでRさんに再会することになっているので、しばしの別れである。
後は、我々2人が本日泊まるつまごい温泉 山田屋旅館を残すのみである。
万座・鹿沢口駅からは車で5分くらいの距離にある、宿の前にはかつて草津と軽井沢を結んでいた草軽鉄道の嬬恋駅があり、
いかにも鉄道敷地跡と思しき空間が広がっている。駅跡らしき場所からは、驚くべきことに貴の湯の源泉らしきものが出ていた。
これぞ日頃鉄道と温泉の融合を目指している者にとっては、飛び上がらんばかりの出会いだったが、
触ってみると冷たいが、口に含んでみると確かに温泉の成分が含まれているような気がした。
山田屋旅館が源泉として使用している貴の湯は、ボーリングにより掘り当てたものであり、道端の源泉とは別のものであろう。
とにかく部屋へ入る前に、露天へ向かった。なぜかと言えば露天からは、眼下に吾妻線の列車を眺めることが出来るからだ。
Rさんの乗った万座・鹿沢口発16:20の新特急草津8号をカメラに収め、列車に向かって手を振った。
こんな機会は滅多にないので、Rさんに手を振るのを言っておけばよかったと後悔した。
肝心の露天のお湯は循環との噂もあったが、内湯で使われているお湯を少し加熱しているように感じられたが、循環ではないと思う。
確かに内湯に比べて薄まっているが、鉄道ファンにとって眼下に線路が見えるだけでわくわくしてくるものだ。
突然ですが、ここで鉄道を眺めながら入れる温泉ベスト3を発表します。
1位 平磯温泉 銀鱗荘 露天岩風呂(混浴)からは雄大な日本海と函館本線の列車が同時に楽しめる
2位 湯野上温泉 清水屋 露天風呂のすぐ脇を野岩鉄道の列車が通り過ぎるのは圧巻
3位 つまごい温泉 山田屋旅館 男湯の露天からは上り列車を遠くから見ることが出来る。
Hさんが帰る頃を見計らって一旦出て来て、玄関前で記念撮影をして分かれる。
部屋に入り、少し休憩してから再び宿のお湯へ入る。
もうひとつの期待していた樽風呂は、源泉に生薬を混ぜた「美白の湯」と名付けられたお湯で、内湯とは全く違う白濁したものだった。
甘い香りが漂っていた。ここは貸切にすることも出来るのだが、どうして源泉をそのまま使わないのだろうか?
ちょっとがっかりして内湯へ向かうと、先程とは打って変わって、近在の入浴客で込み合っている。
内湯には黄土色の濁った湯が豊富に使われている。茶色い湯の花がたくさんの舞っており、見た目にも成分が濃そうなお湯だ。
丁度入りやすい湯温で、とてもよく温まる。しかし、ずっと浸かっているとかなりの入浴感があり、湯疲れを感じた。
のぼせない様に露天と内湯を行ったり来たりして最後に、併設のサウナで汗を流す。
ここで出会った地元のおじさん達に今日の湯巡りのことを話すと、半出来と平治しか分からないと言う。
大前駅前の嬬恋温泉 つまごい館をすすめられた。大前駅はJR乗り潰しの際に降り立ち、駅前に湯気の立ち上る温泉旅館があるのを
目撃しているが、その時は温泉にそれほど興味がなく、早朝だった為未湯である。
終着駅の駅前に温泉旅館があるのは恐らくここだけであろう。
吾妻線沿線は何度となく立ち寄っているが、列車利用ではここは立ち寄り入浴は事実上不可能である。
大前〜万座・鹿沢口は、日中の列車の本数が極端に少ない為、列車利用で入浴するには宿泊するしかない。
泊り客は我々二人しかいない模様で、夕食は脂身の多いとんかつがメインだった。
格安の宿泊料金なので、もともと食事は期待していなかったが、部屋はまだ新しく広々としているのでまずまずであった。
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