招杜羅(しょとら)大将は大日如来を本地仏として、戌の歳と方位をお守りしている。
つつじ山公園の下にある、こじんまりとした古い木造の小さな共同浴場。脱衣所は大変狭いが、浴室からは一応目隠しがされている。エメラルドグリーンの湯に大量の黒い湯の花が舞っている。 この湯の色を見て思わず「おお〜!」と感嘆の声を思わず発してしまった。湯に入り、底の方をかき回してみると黒い湯の花の他に白や灰色の湯の花もあり、これほど視覚的に楽しめる湯は珍しい。長野の高山温泉郷にある五色温泉の内湯を思い出させる泉質だが、それよりも成分は濃厚な感じ。ちなみに女湯の方は透明な湯にエメラルドグリーンの湯の花が大量に舞っていたそうだ。草津の白旗の湯は一日置きに二つの浴槽の湯を入れ替えているが、それと同じ事をしているのであれば納得が行く。複数のサイトの入湯の体験記では、入る度に湯の色が違うといったことが報告されているので、酸化による湯の色の変化が顕著に表れる硫黄泉の典型だと思われる。おそらく一日置きに湯を入れ替えているのではと推察される。
獅子の湯口からは、源泉55℃の激熱の湯が出ている。飲泉しようとコップに湯を入れると、黒い湯の華も一緒に入って来る。飲もうと口をつけたら熱くて飲めず、困っていたら先客の方が「こうすればいいんだ」と言わんばかりに手本を見せてくれた。湯口にコップを当て、少量の湯を入れ、隣に有る蛇口をひねり水でうめて飲んでいた。まだ2湯目だったが、ここは野沢で一番の外湯だと確信する。野沢に来たら、繰り返し何度でも入りたくなるお湯だ。実際宿の内湯に浸かって就寝した後になって、どうしても真湯に入りたくなって出掛けて行ったのは、言うまでもないことだ。野沢特有の熱い湯だが、なぜだか肌に優しい感じがする。調べてみたらphが7.6の弱アルカリ性ということなので、鳴子の西多賀旅館とほぼ同じような泉質であると思われる。しかし決定的に違うのは、真湯の方が湯の花の色と種類のバリエーションが圧倒的に豊富なことだろう。
なお改装前の真湯画像につきましては、PCのクラッシュに伴うデータの損失に伴い永らく公開できませんでしたが、青ちゃん様の提供により公開できましたことをこの場をお借りしてお礼申し上げます。
取材年月日 2001年9月19日
改装なった真湯の外観の美しさは噂に聞いていたが、9年ぶりに訪れてみて微妙に変わっていることに気が付いた。入り口左手にあった椅子が撤去され、入り口右側に立派な石碑が設置されていた。建物側面に通風孔が設置され、入り口の扉が木製に変わっていた。内部は男女の仕切りの壁面がガラスから木に変更された為若干薄暗く感じた。鹿教湯温泉の町・高梨共同浴場と同じようなライオンの湯口が印象的だったのが、平凡な木の湯口になっていた。以前と同様生花が生けられており、温泉に入りながら身も心も癒される真湯は、独特な泉質もあいまって相変わらず野沢温泉一だなと感じた。
取材年月日 2010年7月10日〜11日