真達羅(しんだら)大将は普賢菩薩を本地仏として、酉の歳と方位をお守りしている。
旅の手帖2001年6月号の表紙に使われたのがこの河原湯。この辺りは温泉街の中心であり、夕暮れ時になると浴衣掛けの観光客が、下駄の音を鳴らして行き交う。ほとんどの方が近くにある大湯に向かうのに対し、ここ河原湯に立ち寄る方は驚くほど少なく空いている。河原湯というのは河原に湧き出したお湯なのでその名が付けられているそうだ。そう言えば建物の前に小さな小川が流れているので河原というイメージはあまり湧かないが…
こちらも大湯同様リニューアルされてあり、外観は大湯を小さくした感じ。脱衣所と浴室が一体型の浴場で、内装もばっちり綺麗に仕上がっている。浴場の一角には「浄湯」と書かれた上がり湯があり、先客はそこで体を洗っている。透明な湯に、細かい白や黒い湯の花が舞っている。少し足をつけてみると結構熱いのだが、先客曰く「上の方は熱いけど、入ってしまえば大丈夫」という発言には首をかしげた。しかし、実際入ってみるとその意味が分かった。熱いのは上の方だけで、底の方は思いの外温く、不思議な感じがした。もしかしたら、下の方から加水しているのかもしれないが真相は定かではない。熱い湯ですが、まろやかな感じで気に入った。しばらく出たり入ったりを繰り返して湯の感触を楽しむ。
取材年月日 2001年9月19日
外観もさることながら内装もリニューアルされていたのだが、前回は気が付かなかったものを見つけた。大日本内務省衛生局試験による分析効用なるもの。明治20年の内容の野澤鑛泉場の温泉分析表だが、実際に掲げてあったものは最近書かれたものだった。これだけ昔の温泉分析表を発見したのは初めてだが、新しく書き直されていることに野沢温泉の湯仲間の心意気を感じた。成分が多量、中量、少量、痕跡とあるのは分かるのだが、温泉成分で漢字表記されているのだが何のことだかさっぱり分からないのが多いもしかしたら当て字なのかもしれないが、これはこれで貴重な文章なので撮影したものを詳しく研究してみる価値がありそうだ。
取材年月日 2010年7月11日