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島温泉 島の湯旅館付近の地図
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島温泉 ★★★★☆
街道沿いの鄙びた一軒宿
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 施設名  島の湯旅館 2016年6月閉館
 住所  長野県北安曇郡小谷村北小谷1889
 電話番号  0261-85ー1013
 営業時間  10:00〜19:00
 定休日  なし
 料金  500円
 泉温  37.4℃
 湧出量  20.0 L/分
 泉質   ナトリウム・カルシウム−炭酸水素塩・
  塩化物泉
 HP  なし
 取材年月日  2001年9月23日、2004年3月21日
 国道148号線下の旧道に忘れ去られたかのようにポツンとある温泉旅館で、開湯は大正15年という古い歴史を持つ。その昔は、塩の道を往く牛方達が湯治したという古い温泉だ。午後になり日が当たらなくっているにもかかわらず布団をたくさん干しているので、辛うじてここが旅館だと分かる。目の前に姫川が流れているが、長野オリンピックに合わせて目の前のちょっと高い位置に新しい国道148号線が出来てしまって、その眺めは見えづらくなっている。すぐ近くに道の駅「深山の湯」や下里瀬温泉「サンティンおたり」など国道沿いに外来湯が出来たため、旧道脇にあった島温泉は鄙びた一軒宿の雰囲気が漂っている。宿の前には桜並木があり、4月下旬には満開の桜と温泉を楽しむことができるそうだ。

 玄関で来訪を告げると、高校生くらいの宿の息子さんらしき茶髪の男の子が出てくる。お風呂に入りたいと告げると、品の良いおばあさんが出てきて男の子にお湯を出すように言いつける。湯が溜まるまでしばし炬燵のある茶の間で待たされたが、今時このような民家のような風情の温泉は貴重な存在だ。浴室まで細長い廊下を通って行く、昭和初期の頃の雰囲気の漂う古い旅館で、かなりの部屋数がある。宿全体と同様、浴室も年季の入った共同浴場にも似た鄙びた風情で溢れている。源泉はやや温めであるが、となりにお湯の蛇口があるので、好みの温度に調節できるのが良い。泉温が低いということもあるが、源泉には炭酸成分が多量に含まれているので、源泉を直に体に浴びると清涼感を感じる。時間が止まったような、静かな佇まいの中でゆったりとした湯浴みを楽しんだ。かつて大正15年に一回竪穴で温泉掘削をして旅館を開業するも、その後姫川の水害に遭ったそうだ。現在使用中の源泉は宿の裏手の斜面から自噴する横穴式の源泉で、昭和12年に大糸線の工事の際に掘ってもらったそうだ。このことは、インターネットで調べていたら後日知った。知っていれば案内してもらいたかった。
取材年月日 2001.09.23

 故宮脇氏の著作にもある「最長片道切符の旅」を生中継するという番組が2004年5月6日にNHKBS2とBShiで放映されました。その予告番組の中で鉄道を利用して温泉へ行く達人として、管理人まぶりん麻呂。本人が出演しました。その行先として大糸線を挙げたのは、実はこの横穴式の源泉が大糸線との関わりがあることが分かったからだ。今回の取材の中で直接宿の人からのコメントがいただけるのはここだけだったので、行く前から非常に楽しみにしていた。

 入り口で挨拶して入浴料を払い、一度来たことがあるので勝手知ったるなんとやらで奥へ進むと、鄙びた浴室が待っていた。源泉と加熱用のお湯が同時に投入されていたので、加熱用のお湯の蛇口を閉める。温度計で湯口を測ると37℃で、ほぼ人肌と同じくらいの温度だ。ご主人曰く、ここは温めのお湯なので夏向きの温泉だとのこと。

 浴後に茶の間でお茶やお茶菓子をいただきながら、宿の近況や昔話に花が咲いた。泊まりに来るお客さんはほとんどいないそうだが、ご主人は郵便局に勤めているそうなので宿の経営云々を心配する必要はなさそうだ。戦時中に鉄材供出の為に工事が凍結された大糸線の建設に従事していた技師さんに頼んで、新たな源泉を求めて横穴を掘ったのは少しでも高温のお湯が出ればとの期待を込めてとのこと。古いアルバム
のの中に完成したばかりの源泉の横穴は、鉄道のトンネルのミニチュア版のようだった。

 ご主人に案内されて実際に横穴を見てみると予想以上に小さく、ここに入った郡司さんが途中で断念した理由が良く分かった。高さが1m50cmほどしかない上に、奥から湧いている源泉の熱気で持参のヘッドランプ付きのヘルメットがなければ前進は不可能だ。おまけに足元にはお湯が流れているので、鍾乳洞や洞窟を探険するのと変わらない装備が必要なのだ。さらに奥に進むと温泉の析出物が、まるで鍾乳洞のようにつららのように上から垂れ下がっていたり、棚田のようなものを形成していた。中は天然のサウナ状態で、別の意味でここはお湯に浸からなくても温泉の気分が十二分に味わうことが出来る。肝心の源泉のお湯は、予想以上に炭酸ガスが豊富に残っておりペットボトルが膨張したほどであった。味は塩辛いスポーツ飲料といった感じで、胃腸に良いとのこと。持ち帰って冷やして飲むと一層美味しく感じられた。
取材年月日 2004.03.21
島の湯旅館外観1
島の湯旅館外観1
島の湯旅館外観2
島の湯旅館外観2
島の湯旅館外観3
島の湯旅館外観3
島の湯旅館男湯
島の湯旅館男湯
島の湯旅館男湯蛇口
島の湯旅館男湯蛇口
島の湯旅館女湯
島の湯旅館女湯
源泉が湧出しているトンネル1
源泉が湧出しているトンネル1
源泉が湧出しているトンネル2
源泉が湧出しているトンネル2
源泉の湯溜め
源泉の湯溜め
島の湯源泉
島の湯源泉
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