実はこの共同浴場に関しては、その道の達人でもあまり知られておらず、知る人ぞ知る穴場だと言えよう。ネット上で検索をかけた所、抽出されたのはなんと2件だけ。偶然にも自分のサイトでリンクさせて頂いている、IさんとHさんの情報だったのは、僥倖である。しかし場所に関してはいずれも明記されていないので、てっきり地元民専用だと勘違いをしていた。前日に泊まった野沢の桐屋さんに置いてあった「ガイドのとら」に正確な位置が記されてあったので、狂喜乱舞した。鹿教湯温泉の温泉街から少々はずれた場所、町・高梨地区にある共同浴場だ。通りの反対側に数件の温泉旅館らしき建物があるので、一応それが目印にして行くと分かりやすい。駐車場はないが、路肩に駐車できるスペースがあるので、そこに車を置く。
通りからちょっと入った所にある為、外観をあらかじめ知らなければ、そこに温泉があるかどうかなどは決して分からないでしょう。地元住民用の共同浴場だが、部外者も脱衣所の料金箱へ100円入れれば利用できる。料金箱へ100円を入れると、誰もお金を入れていないらしく、お金が入っている気配は感じられなかった。恐らく外来の利用は皆無に近く、利用されているのはほとんど地元住民の方だと言えよう。鹿教湯温泉の共同浴場と言えば文殊の湯が有名だが、最近リニューアルされて以来評価は落ちている。それだけに、昔ながらの共同浴場の風情を残しているこの温泉は、大切に残していってもらいたい。入らせていただくという謙虚な姿勢で臨めば、入浴料の不払いなんてことは起きない筈ですが…
脱衣所は、棚の上に蜘蛛の巣があるくらい鄙びていた。しかし浴室に入ってその印象はいい意味で裏切られた。共同浴場には珍しく、窓が広くとられており、外が丸見えである。外からの自然光で浴室は明るく、浴槽の水色のタイルがさらに明るいイメージを強調している。鹿教湯2号、3号、4号、5号、6号の混合泉であり、湯量は豊富で熱めのお湯が掛け流しである。レトロなライオンの湯口から飲泉すると僅かに硫化水素臭が感じられた。ややもすれば観光地化されてきている鹿教湯にあって、このような共同浴場が残っていること自体が奇跡のように思えてならない。ここは、何度でも入ってみたいお湯のひとつになった。いつまでもこのままひっそりとした素朴なお湯のままでいて欲しい、切にそう願ってやまない。
なお画像につきましては、PCのクラッシュに伴うデータの損失に伴い永らく公開できませんでしたが、青ちゃん様の提供により公開できましたことをこの場をお借りしてお礼申し上げます。