出発直前にメールで知人より教えてもらった塚野鉱泉へ向かう。鄙びた湯治色が濃い温泉地である。車1台がやっと通れる細い道になり、道路の左側は切り立った岩壁で右側は川でガードレールがない。恐る恐るなんとかそこを通り抜けると,塚野鉱泉にたどり着いた。三軒の旅館の内、手前の山水荘で聞くと内湯はないとのことで入湯料150円を払い共同浴場へ向かう。150円という値段設定は旅館での入湯税と同額であるが、果たして外来入浴料金が収受できているか怪しいものだ。(2015年9月現在入浴料金は大人200円・子供100円)草津の外湯を彷彿とさせる風情であり、なかなかいい味を出している共同湯だ。
色はうっすらと茶色く濁っており、いかにも効能が高そうな鉱泉である。浴槽の右側には3つの蛇口があり、左側には蛇口が1つ設置されているがいずれも閉められており、お湯は少々温い。左側の蛇口を開けてみるがとてつもなく熱いお湯が出て来る。それもその筈で、これは熱湯だそうだ。右側の蛇口をひねってみると、いずれも冷たいので水だとばかり思っていたら、2つは鉱泉水で残り1つは水だそうだ。後で分かったことだが、ここのお湯は別府九大温泉治療学研究所高安博士のお墨付きの良質な鉱泉であるそうだ。
浴後にペットボトルを手にした人々が共同湯の奥に向かうのを見て、何かあるのだろうかと思ってついて行くと塚野霊泉があった。宅配便にて発送用のポリタンクがずらりと並べてあり、水を汲みに来る人が絶えないようだ。ここは温泉に入るよりもむしろ飲泉における胃腸の病気に対しての効能は高いそうなので、一口飲ませていただく。一升瓶あたりいくらというような値段設定で有料であるが、柄杓ですくって試飲させてもらったり、小さなペットボトルに汲んでいくくらいは無料だ。炭酸泉特有の酸味が強く、塩辛い味のサイダーといった感じで一気に沢山はとても飲めない。