湯布院からやまなみハイウェイに乗り、由布岳の雄大な眺めを堪能しながら、快適なドライブを楽しむ。大分自動車道の脇道を行き、乗馬クラブを過ぎた辺りで伽藍岳(硫黄山)方面のダートを1kmほど行く。はるか上の山腹からは大量の蒸気が噴出しており、強烈な硫黄の臭いが漂っている。塚原温泉 山の湯は、900年前平安時代末期の武将・鎮西八郎源為朝が巻刈りの際に発見したと伝えられ、アトピーなどの皮膚病に特に効くことで大変有名な温泉である。
受付で入浴料を払うのと同時に名物の15時間もの間蒸して作られる温泉玉子にありつき、早速いただくことにする。玉子の殻のみならず中身まで茶色くなっており、およそ玉子とは思えない濃厚な味がして、これから入るお湯の良さが予想された。なお、温泉玉子は売り切れになるので早めに行くことをお薦めします。実際に我々が帰る時には売り切れていた。入湯料400円(2001年4月からは500円)を支払い浴室棟へ向かう。別棟に家族湯があり、家族水入らずでゆっくり浸かるにはこちらをおすすめします。最近露天風呂が新設されたようで、絶大な人気にかげりはないようだ。男女別の浴室は広めで、薄い黄色味を帯びたお湯で、湯治色を色濃く残すひっそりとした温泉だ。お湯のPH値はなんと1.4で、これ以上酸性の強いのは玉川温泉しかないそうである。と言うことは、日本第2位の強酸性の温泉ということになる。脱衣場の壁に貼ってあった新聞記事が泉質の良さを雄弁に物語っていた。
湯口のお湯を飲泉すると、良く言えば柑橘系の強烈な酸っぱい味、悪く言えば胃液のような味がした。ここは強酸性という点のみならず特筆すべき点がある。鉄やアルミニウム等の金属成分が多く含まれていることで、別府側の麓の明礬温泉山田屋のお湯に近いものがある。これは湯を飲んでみるとよくわかる。レモンや夏ミカンのような酸味を乗り越えて、渋くて苦い複雑な味が口いっぱいに広がる。歯がキシキシとして、飲みつづけていたら歯が溶けてしまう危険を本能的に感じるほどである。ここは純粋に温泉を愛する人か、湯治目的で訪れる人しかおらず、これぞ求めていた本物の温泉の風情だと思う。入浴客のマナーも極めて模範的と思える方ばかりで気持の良い湯浴みができる。
この旅の時点ではデフレという言葉は巷に溢れていなかったが、入湯料の値上げは後述する別府温泉でも行われる模様で致し方ないと思うが、やはり安いに越したことはない。 脱衣所には温泉MLの2000年度と1999年度の温泉番付が掲示してあり、興味深い温泉がかなりあった。 今回の湯巡りで入った温泉がかなり含まれていたので、一人悦に入って撮影しておく。改めてこの地域に多種多様な良質の温泉が存在するか認識させられた。以前はこの温泉は「山の湯」を名乗っていたが、ありふれた名前なので別府温泉道への加入を契機に「火口乃泉」という名称に改められました。(情報提供者:onoさん)