事前の調査であたりをつけていた場所には、遠目から見て観海寺温泉の煙が所々に上がっている。小さな橋を渡り細い急坂を登り始めた所で対向車が来るので、あわててバックして道を譲る。登っている途中で鉢合わせしたら完全にアウトである。二度と車では来たくないと思ったほどの急坂である。やっとたどり着くと、おばさんが手招きをしているので階段を上がり二階へ上がる。
ここは食事をすれば温泉に入らせてもらえるシステムである。先に食事の注文をし、撮影の為外へ出る。目の前にある源泉の上に立つ櫓からは盛んに白い湯煙が出ていて、気分が高まる。近所の家の犬がひなたぼっこしている。なぜか温泉地には必ずと言っていいほど犬が似合う。いつものことだが、犬の肩をもんでやると、うっとりとして寝っ転がってしまう。
来た時はほとんど誰もいなかったので先に食事にする。5月〜8月は松花堂弁当、9月〜4月は大分郷土料理のだんご汁が¥1,000でいただける。名物のだんご汁(けんちん汁の中にほうとうがはいっているイメージ)を食べ、いよいよ露天風呂へ向かう。別府一、いや九州一とさえ絶賛される素晴らしい別府湾の眺めだ。これほどの景観の湯は滅多にはない。名前もまさに「景観の湯」と呼ぶにふさわしい。弧を描く海岸線のかなたには天気が良ければ佐田岬が望めるというが、今日ははっきりとは見えなかった。
コバルトブルーに乳白色が加わったお湯で、注がれているお湯は透明なのですが、酸化が進むにつれ色が変って行くそうだ。そして浴槽は驚くほど広いのである。というか温泉プールと言った方が適切な表現かもしれない。885系新型特急車両が別府駅に進入するのが見える。鉄道模型を見ている様な大パノラマに酔いしれた。
露天風呂はもうひとつ「金鉱の湯」がある。こちらは、木立に囲まれてひっそりとしたたたずまいである。名前の由来は、別府金山の跡を利用して作られたからだそうだ。すぐそばには天然の洞窟を利用した蒸し風呂もあり、この蒸し風呂のある洞窟がかつての金山の跡なのだろうか?
お昼時のせいか次第にお客が次々とやって来て、帰る頃には駐車場には車が入りきらないほどであった。ここは、お昼時には駐車場が一杯になってしまうので、11時頃か17時頃に来るのがいいかもしれない。