駐車場に湘南ナンバーの車があったので親近感を持つ。その車は受付のおじさんの車で何と家が自分の実家と同じ藤沢であった。しかも友人の実家と同じ地名だとのことで、再びびっくりする。松代の観光地図などを頂戴し、おじさんの案内で源泉を拝見させていただく。初めて来る人には浴舎の脇にある源泉の湧き出し口を見せるのが、おじさんの楽しみのひとつなのかもしれない。
炭酸ガスを大量に含む湯で一見すると泡だらけで、源泉のお湯が注がれ、泡立ち、流れ去っていく光景を眺めているとまさに洗濯機さながらだという感想を抱いた。この洗濯機という私の感想は、某温泉サイトを通してかなり広まったことがあった。以前は源泉から直接お湯を供給していたのだが、爆発事故があった為、この洗濯機状の槽に一旦注いでから供給している。
男女別浴の内湯から一旦外へ出て行かなければならないので若い女性にはあまりお薦めではないが、(タオル巻きや湯浴み着の着用は認められているようです)個人的には混浴の露天は最高に気に入った。源泉で41℃、毎分400Lの掛け流しの温泉は透明だが、空気にふれると黄土色に変色する。露天は少々温めだが温湯好きな自分には丁度良い湯加減だ。2つある浴槽の内、奥の方に皆つかっている。なぜだか分からないが何か暗黙のルールでもあるのだろうか?
お構いなしに手前の浴槽につかる。しばらくして奥の浴槽の方が手前の浴槽のお湯よりも若干透明がかっていることに気が付いた。それだけ新鮮なお湯を常連さんは心得ているということだろうか?そういう泉質的なこと云々を抜きにしてもここが長野市内とは思えないくらい素朴で素晴らしい温泉だ。長野市内に住んでいたら毎週通ってみたくなるなあと思いながらぼーっとしていると、気がつくと入ってから1時間近く経過していた。
あわてて内湯へ行き浸かると、かなり暖かく感じる。浴槽が細長いせいか湯が澱んでいるように見うけられた。湯口から出ているお湯は透明だが、細長い浴槽をゆっくり流れていくうちに酸化が進み茶色が濃くなっていく様が見られる。温泉が酸化していく様をひとつの浴槽の中で垣間見ることが出来るのは、大変貴重な存在だと思う。内湯と露天は別源泉であり2つの泉質が楽しめて良いのだが、露天と内湯の行き来が少々めんどくさいのが玉にキズだ。
浴舎はかなり大掛かりな建物で昔はさぞかし賑わっただろうと想像される。脱衣所と浴室が一体になったタイプで外観、内装ともに鄙びまくっており、こんな風情は山奥の湯治場へ行かないと味わえないと思っていた先入観を見事に打ち破ってくれた。かつてはこの温泉は宿泊も受け付けていたそうなのだが、現在は残念ながら宿泊することは出来ないとのこと。