■ 千代の湯における時間湯の体験記
待合室にて待機し、湯長もしくは副湯長による時間湯に関する注意事項の説明や持病の有無の質問を受けます。
● 湯もみ
参加者全員での湯もみ体験を行います。長さ2m、幅30cmの板を湯に差して草津節に合わせて湯もみをします。これは慣れるまでコツがいるのでなかなか大変な作業です。湯畑源泉の65℃の高温の湯を入浴可能な48℃に下げると共に、入浴前のウォーミングアップを兼ねます。
湯もみをすることにより湯気が立ち、湯気を肺に吸い込むことにより血液を浄化する効果をもたらします。参加者は一旦待合室に戻り、湯温を下げる為、湯長による湯もみの作業が行われます。しかし、普通の沸かし湯では48℃の高温では熱くて入浴出来ません。
● どうして高温の草津の湯に入ることができるのでしょう?
草津の含硫化水素強酸性明礬緑礬泉という泉質から成る湯の花は、空気に触れると結晶し、コロイド化します。
コロイドとは0.001〜1マイクロメートル程度の粒子が、浮遊あるいは懸濁している物質の状態である。コロイドの一番身近な例に牛乳が挙げられます。水溶液の中に脂肪が分散したコロイドで、光を通してみると白く見える。これは光の波長よりも小さいサイズの粒子による光の散乱によってもたらされる。この色は粒子の大きさによって決まるもので、粒子の種類は問わない。分散質粒子同士が吸着集合して沈降する凝析という現象が進行すると、粒子が大きくなり色が変わってくる。温泉の色が時間や日によって変わって見えるのは、コロイドのこうした性質によるものである。コロイド状の湯の花は、入浴時には体全体にまとわりつき、薄い皮膜が出来ることによって体感温度が下がる。
これが俗に言うお湯が「柔らかくなった」ということであり、単純にに湯の温度を下げたのとは質が違います。
● 入浴方法
時間湯は湯長の号令により入浴します。
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一、したくが宜しければソロソロ下がりましょう。
二、 揃って三分〜。
三、 改正の二分〜。(一分経過)
四、 限って一分〜。(二分経過)
五、 チックリ御辛抱〜。(三十秒前)
六、 辛抱のしどころ〜。(十五秒前)
七、 最直(もうじき)です。(十秒前)
八、 如何(いかが)ですか。(五秒前)
九、 さあ効きましたらソロソロ上がりましょう。
(三分経過)
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浴客「オー」と返事
浴客「オー」と返事
浴客「オー」と返事
浴客「オー」と返事
浴客「オー」と返事
浴客「オー」と返事
浴客「ありがたい」と返事
浴客「効きました」と返事
浴客「オー」と返事
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● 時間湯入浴後に行って頂きたいこと
時間湯は入浴後しただけでは、時間湯の本当の効果を実感するのは大変難しいことです。入浴後に以下の事を行って頂けると時間湯を本当の意味で体験できるかと思います。
必要な物
バスタオル2〜4枚
1.湯から上がった後に頭からすっぽり一枚かぶります。
2.胴体にバスタオルを巻きます。
3.足に最後の一枚を巻きます。
4.座る所にもバスタオルを敷く。(あればでOKです)
2枚の場合:胴体と足に巻いて下さい。
1枚の場合:肩から掛けて体育座りの様に座りバスタオルで全身を覆ってください。
※衛生上の問題でタオルの貸出は行っておりません。
その後は静かに座って最低でも10分は休んで下さい。座っている間に頭、顔、首筋、胸、背中、ふくらはぎ、足下全身から驚く程の汗が出てきます。普段汗をかかない方でも信じられない程の汗が出てきます。一段落すると汗の流れが出にくくなります。そうしたら終了の合図です。終了後ふくらはぎなどを揉んでみると柔らかくなっていることが実感できると思われます。
注意事項
1.入浴後お急ぎでもどこかで必ず体を休ませてください。
2.終了後は必ず水分摂取を行ってください。脱水症状を起こす可能性があります。
3.飲み物は温かい飲み物を摂取することをお勧め致します。これは体を冷やさないためです。
● 湯治を効率よく行う為に
湯治中の基本として。
◯ 冷たいものを飲まない。身体を冷やさない。
◯ 酒、煙草、辛いもの、自己判断での薬物摂取等は止める。
◯ 入湯と入湯の間に短く仮眠する。
◯ 皮膚病、内臓疾患は甘いものも少量。肉類、油物も過度に摂取しない。
◯ 引きこもらず、体力に応じて散歩や運動。身の回りを綺麗に清掃する。
◯ 夜型生活にならない。
◯ 決まった時間に規則正しく入湯する。
◯ 時間湯も共同浴場も礼儀と譲り合いを忘れず、元気よく挨拶を。
※以上は時間湯では基本中の基本ですが、要は湯治による体質改善は勘や思い込みでは成功しません。
● 道場、寺と言われる所以
禅
1.湯上りは、正座、又は結脚不座にて静かに蒸す。
目は半眼(5〜10分)
2.人の話を黙して聞くも修行。
経
1.入湯前、後の祈り、湯神への感謝の心。
2.一入湯ごとに六魂を清める如く入るべし。
清浄
1. 人の見ぬ所でこそ心を込めて掃除する。
2. 一入湯ごとに六魂を清める如く入るべし。
● 治らぬ者の三知らず
1.知らず
恩知らず、世話になった人に礼を忘れ、仇で返す人
2.知りたがり
相手の立場を考えず、要は欲求のまま知りたがる人
3.知ったかぶり
三日入湯で全てを知ったつもりの人
他人話を自慢気に語る人
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