小坂製錬小坂鉄道
小坂製錬小坂鉄道は秋田県にある貨物専用鉄道でした。
鹿角郡小坂町にある小坂駅と大館市にあるJR大館駅を結ぶ22.3kmの路線で、主に鉱石を溶かした際に発生する硫黄を濃硫酸にして回収し、一日に二回運び出していた。
2008年3月に新炉が建設されて濃硫酸製造の必要がなくなり運行を休止。
今後も貨物輸送の見込みがないため国土交通省に小坂鉄道(小坂線)は事業廃止届を提出し、2009年4月1日で廃止されることが決まった。
同鉄道は旅客と貨物の両方で利用されてきたが1994年に旅客営業を中止し、2008年3月には貨物輸送も休止していた。
この路線は直接人間の手によって動かしているものが実に多かった。
腕木式信号機(茂内駅構内には通過式の腕木式信号機があった)、ポイント、タブレット交換(茂内駅では貨物列車に限り走行中の受け渡しが行われていた)、有人式踏切など。
25パーミルもの勾配を克服する為にディーゼル機関車の三重連、濃硫酸の貨車が多いときは四重連が見られることで鉄道ファンには特に人気があった。
小坂町は、開設100年を迎えた同鉄道を康楽館とともに町の近代化遺産の一つとしてとらえ、保存や観光化の道を探るため300万円の調査費を計上している。
廃止後の活用策として旅客を復活した場合の工事費などを試算しており、2009年3月までに方向性を出す模様。
個人的には廃止直前の1993年秋には雪沢温泉駅に下車してヘルスセンター大雪という温泉宿に泊まり、(小坂鉄道・弘南鉄道の旅参照)
1994年3月には盛岡から始発の花輪線で大館に出て大館から終点の小坂を往復した。(小坂鉄道・由利高原鉄道の旅参照)
地方私鉄に二回も乗車したのはこの路線以外では津軽鉄道だけである。
日本の古き良き鉄道風景を最も忠実に残していたとも言える小坂鉄道は、秘境駅の宝庫であったと記憶している。
願わくば小坂町の手によって観光用の旅客鉄道を復活させてもらいたいものだ。
取材年月日1994年2月19日