鎌倉の数ある甘味処として一番有名なのは、この店だと断言してもいいだろう。本当は5つ星をつけたいのだが、いつ行っても行列で入るのを敬遠してしまうのでやむなく4つ星とする。しかし、カフェと違って甘味処は回転が速いのでそれほど心配することはない。今日は鎌倉一紅葉の綺麗な獅子舞(紅葉谷)で紅葉の撮影をした帰りがけに久しぶりに寄ってみた。この店は店の中でも行列が出来ているのだが、外には丁度誰も並んでいなかったので15分ほどの待ち時間だった。鎌倉でしるこるならここは最高の雰囲気だ。30年ほど前に箱根の大工が作ったそうで、天井の飾り、しっかりとした机、木の良さを生かした柱など古都鎌倉にふさわしい名店の趣がそこはかとなく漂っている。
店内はいつも込み合っているが、客の人数に応じた席の割り振りや注文の取り方などの手際の良さに感心させられた。数あるメニューの内、ほとんどの客が注文するのはつぶあんの田舎しるこだ。ふっくらと柔らかく仕上がったあずきは、丹波の大納言を毎朝2時間かけておかみさんがつきっきりで丹念に煮込んでいるようだ。田舎のおばあちゃんのしるこを彷彿とさせるような、さすが創業50年の味だと見ただけで唸ってしまう。田舎しるこはしるこ、香の物、お茶がセットになってお盆で運ばれて来るが、またこのお盆がいい風合で年季が入っており、食べる前の期待感をますます高揚させてくれる。画像では分かりにくいのだが、しるこが盛られているお椀が普通のものに比べてかなり大きく、普通のお椀の2倍くらい。見た目よりもかなり食べ応えのある量で、食べ終わった後はこれで700円は安いと思ったほどだ。
久々にじっくりしるこを味わってみて、これだけ行列ができるのも無理からぬことだと納得する。夏場は氷あずきや氷宇治金時などのメニューもあるので、こちらも試してみるのも一興だ。今回メニューの中にクリームぜんざいなるものを見つけたのだが、しることぜんざいの違いがまた分からなくなって来た。しるこは関東、ぜんざいは関西(法善寺横町の夫婦善哉が有名)だとばかり思っていたので、謎は深まるばかりだ。次回行く時までにこのネーミングの謎を解き明かしてみたい。
しることぜんざいの内容と呼び方は関東と関西で異なることが分かった。
関東
しるこ=小豆あんの汁物全般
粒なししるこ=御前(御膳)しるこ
粒ありしるこ=田舎しるこ
メニューに田舎しるこ(つぶ)、御膳しるこ(こし)
と書かれていたのは、しるこについての
解説だったことに今更ながら気がついた。
関西
しるこ=粒のないもの
ぜんざい=粒のあるもの
関東 ぜんざい=餅などにあんを添えたもの
関西 亀山=餅などにあんを添えたもの