緑を求めて銭洗弁天へ行く途中にある茶房「雲母」へ。一見普通の住宅だが、坪庭や窓外の緑が心地よく、小奇麗な和のテイスト溢れる甘味処。メニューを一見して、甘味の王道？白玉クリームあんみつを注文する。白玉粉をすりつぶして出来上がりの舌触りを滑らかにしているという巨大な白玉は注文を受けてから作るこだわりの逸品。一時期白玉に凝って自分で作ったことがあったが、白玉作りは簡単そうでなかなかうまくいかないものだ。できたての熱い白玉ってどうなんだろうと心配していたが、意外と熱くなかった。白玉の滑らかさもさることながら、その大きさにもビックリします。店主によると、通常他の店で使う白玉粉の４倍の量を使っているとのこと。モチモチした柔らかな感触、口いっぱいに頬張ったときの充実感、こんな美味しい白玉があるだろうか？有名な店ではほとんどと言っていいほど白玉は作り置きしておくものだが、この店はどんなに長蛇の列が出来ようとも、かたくななまでに注文を受けてから作るという姿勢を崩していない。

　年中無休、禁煙、駅から近く、緑が楽しめ、静かという私の理想とするカフェの条件をほとんど兼ね備えている。各テーブルには生花が生けられ、小さな床の間みたいなスペースもあり女性客には好感度が高そうだ。ほとんどの客が甘味を食べに来ていたが、コーヒーだけ飲んで帰る常連客の姿もあった。食前の漬物とか、食後のこぶ茶など他ではあまり見受けられない細やかなサービスが光る。欠点と言えば餡が少々甘すぎるのと店へ入る階段がバリアフリーでないことくらいで、鎌倉のカフェとしては久々の五つ★をつけました。ただ、午後になると混雑し、坂の下まで長蛇の列ができることもあるそうなので、午前中か昼時をおすすめしたい。白玉と店の雰囲気なら「雲母」、小豆なら小町通りから少し入った所にある「納言」のおしるこ、総合力では小町通りの「くるみ」といった感じかな？最近佐助に出来た「あんと」の白玉も評判が高いので食べ比べてみたいものだ。

取材年月日　2003年6月5日

　前回一人で訪れた時にあまりに素晴らしいカフェだったので、是非とも妻を連れて行きたいと思い、遅い夏休み（平日）の１日を利用して再訪してみた。前半は目当てにしていたカフェに満席・定休日・臨時休業とことごとく嫌われたが、後半は格安の中国茶器のセットを御成通りで見つけた中国雑貨屋兼茶房で購入するなど満ち足りた気分になりつつあった。近々子供が産まれる予定なので鎌倉のように緑の多い所に引っ越そうかと思いつつ、駅前の紀伊国屋で品揃えとか値段をチェックしながら茶房「雲母」へ向かう。銭洗弁天の参道にあたる佐助トンネルの手前の閑静で緑豊かな住宅街の一角にこの店はある。建物は普通の住宅風だが、看板や石段付近の情緒あるアプローチはさながら高級旅館と見紛うばかりで、いかいも古都鎌倉にふさわしい感じに妻も好感を抱いた模様。お品書きが入り口の所にさりげなく掲げられているので何にしようか眺めるが、白玉を中心にしたメニューは豊富でどれにしようか迷ってしまう。

　平日にもかかわらずそこそこ席が埋まっていたが、幸運にも奥のソファー席に座ることが出来た。前回はソファーに座ったので、椅子に座ってみてちょと驚いた。見てくれはおしゃれでシックな感じの黒い椅子だが、お尻を載せる部分が狭い上に、座り心地が極めて悪いのだ。ソファーに金をかけすぎて椅子までお金がまわらなくなったのか、それとも椅子の座り心地を悪くして回転率を上げようとしているのだろうか？前回も感じたのだが、なかなか店の人が出てこないというのもちょっと気になるところだ。

　しかし、そういったマイナス要素を一蹴してしまう甘味の美味しさと飲み物のサービス（水、お茶、昆布茶）には目を見張るものがある。自分が頼んだのは、冷し白玉しるこ。暖かいしること同じ値段だったので気になっていたのだが、氷がひとかけらしか入っていない。気を取り直して冷水が入っていたグラスの氷を入れて、ようやく冷ししるこらしく冷たくなった。ボリュームある白玉が４個、甘すぎず薄すぎない絶妙なあんで味は申し分ない。妻が頼んだのは、宇治白玉クリームあんみつ。抹茶の入った白玉は見た目ほど抹茶の味はしないが、視覚的な効果としては普通の白玉よりも食欲をそそるので女性にはかなり受けがいいと思う。２回目の訪問なので少々辛口な評価になってしまったが、今の所鎌倉で一番気に入っている店であることには変わりはない。

取材年月日　2003年9月17日