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上州温泉巡り第一章
2000.07/07〜07/09

まぶりん麻呂。ちえりん
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 07/07

 相模大野〜新宿〜大宮〜上毛高原〜みなかみの森〜
 谷川温泉「湯テルメ谷川」たくみの里
 奥平温泉「遊神館」法師温泉「長寿館」(泊)

 電車とバスで法師温泉へ行く時は上毛高原駅or後閑駅で
 下車し、関越交通バスに乗り猿ケ京終点にて下車し、
 新治村村営バスに乗り換え、 終点法師温泉へ向かう。


 07/08

 法師温泉「長寿館」猿ケ京温泉「憩いの湯」
 ロックハート城高山温泉「いぶきの湯」
 水上豆腐工房〜 湯の小屋温泉「民宿たむら」(泊)


 07/09

 湯の小屋温泉「民宿たむら」宝川温泉「汪泉閣」
 裏見の滝〜みなかみの森〜サイクルスポーツセンター
 真沢温泉「美人の湯」〜上毛高原〜大宮〜新宿〜
 相模大野

07/07
 小田急線の急行で新宿へ向かう。いつもと変わらない混雑ぶりだ。埼京線の通勤快速でやっと座れた。大宮駅で遅めの昼食にする。ざるそばといなりのセットを注文する。だがこのそばつゆはいったい何だ?透き通って底が見えるぞ!周りを見渡すと、みんなうどんを食べている。もう少し観察してから注文すべきであった。新幹線には1時間弱の乗り継ぎ時間があったので立ち読みをして時間をつぶす。このあたりの乗り継ぎを考えると上州湯巡り号は楽チンだ。新宿新南口から乗り換えなしで草津温泉まで連れて行ってくれるのは魅力的だ。上毛高原駅を降りると丁度雨が上がった所で、幸先が良い。

 今日から3日間お世話になるホンダのLOGOに乗りこみ、水上方面に向かう。水上温泉の日帰り入浴施設を探すが、クリーニング屋を温泉と間違えたり、結局見当たらず断念。途中「みなかみの森」で土産用のお菓子等を物色する。このあたりでは一番有名な谷川温泉「湯テルメ谷川」を目指す。水上温泉は高級旅館ばかりが目立つが、谷川温泉にはペンション村があり、安上がりにしたい時は要チェックだ。昼前に「湯テルメ谷川」に到着。作業員風のおじさんが数名駐車場にござを敷いて、昼食の真っ最中だった。まさに谷川という川の瀬音を聞きながら、露天風呂に入れる好立地の日帰り温泉であるが、その後鉄砲水の悲劇が起こるとは…犠牲者の冥福を心からお祈りいたします。

 川の方を見ると遊歩道があり、川原に下りれそうだ。「金盛館せせらぎ」をぐるっとひと回りして、遊歩道を下りていく。川原に下りるのは久々で、丹沢山麓の山小屋に通っていた頃が懐かしい。台風もまだ来ておらず、素晴らしい天気だ。川原で持参した飲み物を冷やし、携帯食料で昼食にする。駐車場に戻ると、くだんのおじさん達は横になって寝ている。食後の休憩であろうが、のどかな風景で羨ましく思えた。入浴料500円を払い、中に入ると至る所に時計が設置されている。さっそく露天へ向かうと、予想以上に広くて湯温も温めでなかなか良い。男性用はかこいがないので開放感抜群だが、先程歩いた遊歩道から丸見えだ。遊歩道を歩く人などほとんどいないので何ら支障はない。ふと近くの岩を見ると巨大なヒルが尺取虫のようにこちらに近づいて来る。寸又峡でのトレッキングでかかとを吸われた苦い経験を思い出す。あわてて湯をかけると物陰に隠れてしまった。どうやら真上にそびえるコナラの大木からやってきた模様だ。

 相俣水上線を西行し、赤谷越を仏岩トンネルで越え、猿ケ京方面に向かう。途中、川古温泉の一軒宿の浜屋旅館に食指が動くが、入浴は先送りする。たくみの里の泰寧寺のアジサイが見頃だったのを思いだしたので、急行し、撮影を開始する。アジサイは7/15くらいが見頃だそうでイベントが予定されている。ほたるぶくろの花を久々に発見し、少し得をした気分になった。たくみの里では玄関用に藍染めのれんを買おうとしたが、値が張るので断念。

 たくみの里の奥の村営温泉センター奥平温泉「遊神館」に向かう。車を降りると、にわか雨が滝の様に降ってきた。ついに台風が近づいてきた模様である。トイレの入り口にはくだんの藍染めのれんが掛かっているではないか。逃した魚は大きい。温泉は案の定循環であったが、薬草風呂、打たせ湯、ジェットバス、サウナ、露天と充実しており、特筆すべき点は食事処である。メニューがなかなか充実しており、値段も良心的だ。夕方にも関わらず結構繁盛している。名物は珍しいなまずを使った「かみなり丼」だそうだ。

 「遊神館」からたくみの里経由で猿ケ京方面へ向かう。猿ケ京とは猿がたくさんいるから名付けられたと思っていたが、そうではないらしくい。話は戦国時代に遡る。上杉謙信が三国峠を越えて、関東に遠征する際にこの地を訪れた。謙信はその夜自分の歯が8本も抜ける夢を見た。これは不吉な夢に違いないと思い、部下に相談した。しかし、その話を聞いた部下はすかさず「吉兆でござる」進言した。つまり、関八州を謙信が手中に収める暗示であるということだ。その話に喜んだ謙信は、この地を「申が今日」と名付けたのが由来だそうだ。赤谷湖のあたりで一台のタクシーの後ろを行く。多分行き先は法師温泉だろう。案の定途中で左折し、法師温泉へ向かう。少々道が細くなっている所があるが、タクシーの先導があるので安心だ。駐車場の所に貸し部屋と思しき建物が建設中であった。これからは日帰り入浴にも力を入れるのだろうか?

 法師温泉「長寿館」は建物を改築したり、新築したりと姿を変えてきつつある。割と新しい法隆殿(宿泊棟)は以前来た時は真新しかったが、風雨に晒されいつのまにか古びた感じになっており、いい味を出している。車から降り、宿泊棟の撮影を始める。写真を撮りながらテンションが上がる。今回の宿泊は実は無料招待である。日本秘湯を守る会の会員旅館に3年間の間に10軒宿泊すると1泊分無料になるというシステムになっている。無料招待の宿はその10軒の中から選ぶので、選ばれた旅館にとってこれほど名誉なことはないので、番頭は満面の笑みで出迎えてくれた。部屋はもちろん最高級の法隆殿に案内される。10畳の和室の脇に椅子とテーブル、書き物机がある。6畳の和室にはミニキッチンが設置されている。電磁調理器があるのでお湯を沸かしてカップラーメンくらいは作れる。冷蔵庫には秘湯らしからぬボージョレー・ビラージュまで揃っている。

 浴衣に着替えるのももどかしく、新設された玉城乃湯(中浴場)へ向かう。法師乃湯(大浴場)入り口に男女別の脱衣場が新設されている。その奥に玉城乃湯がある。脱衣場は今時の高級和風旅館にありがちな作りだが、浴場との境の扉の前の床に埋設されている石が妙に暖かい。温泉の熱を利用しているのであろうか?浴場に入ると檜のいい香りが充満しており、内湯の底には玉石が敷かれている。窓のデザインや梁の造りは法師乃湯(大浴場)を忠実に再現している。内湯は京都府の湯の花温泉の「翠泉」のイメージに似ている。

 露天は植木や石がうまく配置されており、周りの自然と調和している。露天の湯温は内湯に比べ、かなり熱かったので沸かしか?と思い、後で仲居さんに聞いた所、内湯とは違う源泉を使用しているそうで、沸かしではなかったので安心した。内湯には何と洗い場があり(大浴場には無い)、木製の風流な巨大なベンチがひときわ目立っている。蛇口やシャワーといった無粋なものは無い。あるのは湯が出てくると思しき木の樋があるだけのシンプルな造りだ。どうしたら湯が出せるのだろう?と思い、樋の下を見ると法師温泉のロゴマークの入った木製のボタンがある。押してみると一定時間湯が樋から流れ出て来る仕掛けだ。玉城乃湯の案内を簡単にしておこう。

 夜6時〜10時、朝5時〜7時は女性専用、その他は男性専用。準備の為?朝9時〜午後3時は利用できない。法師乃湯には女性が数名入っていたが、じきに上がってしまい貸し切り状態だ。ここは夕方に入ると妙に薄暗く感じられるので、夜に入るのが、最適かと思われるので早々に切り上げる。夕食後はすっかり寝てしまい、12時前に目覚める。

07/08
  法師温泉「長寿館」の一室にて…モー娘の浴衣姿に見とれてTVを見ているともう1時過ぎであった。初日の紀行文の下書きを書き物机でしたためる。こういう時こそノートパソコンがあれば二度手間が省けるのだが。法師乃湯へ行くとおじさんが入って来たが、すぐに上がり貸切状態となる。栗材を使った大浴槽は田の字形をしている。入り口に近い左右の浴槽は「旭の湯」、奥の2つは「寿の湯」と呼ぶ。湯は玉石が敷かれた底から湧き出してくる。もともと温泉が自然湧出していた川の上に浴舎を建てたのである。それぞれに湯温が微妙に異なり、ちなみに温めが好きな麻呂は「寿の湯」の左側がお気に入りの浴槽である。ここで法師乃湯の極上なつかり方を編み出したので紹介しよう。それぞれの浴槽にはそれぞれ頭を乗せる為?の木が渡してある。その木を頭の所に引き寄せ、底に敷いてある玉石の中から大きな平べったいものを探す。石を縦にしてお尻の部分の支えにする。そして、つま先を浴槽の縁に乗せる。頭とお尻とつま先で浮力を使ってバランスを取るのである。正真正銘の掛け流しの湯で42〜43度という湯温は理想的な温泉である。これで硫黄泉なら完璧なのだが…

 昨夜来の台風の風雨はますます激しさを増している。朝食後に玉城乃湯へ入るが、たたきつける様に雨が内湯の中まで襲いかかって来る。ここは外から見ないと分からないのだが、巨大なガラス戸で仕切ることができる。しかし一体いつこの戸を閉めるのだろうか?風呂上がりに敷地内に涌いている水をペットボトルに詰める。名湯のある所、涌き水は間違い無く美味い。チェックアウトの頃は風雨が激しくなってきた為、ゴアテックスのレインウエアーに身を包んで、宿を後にする。

 今日の午前中は天候がすぐれない為、高山村のロックハート城へ向かう。途中、村営猿ケ京温泉「憩いの湯」につかる。湯守りはいなかったが、自販機で入浴券(300円)を購入する。シンプルな造りだが、畳敷きの休憩所がある。地元の人しか来ない様な、のどかな風情で、草津の外湯を思い出させる。湯量は割と豊富で正真正銘の掛け流しの温泉だ。明るいイメージで気に入った。次回法師温泉来る機会に再訪しよう。

 温泉から上がると、雨はすっかり上がっていた。南進し、高山村へ向かう。天気は急速に回復し、晴れ間ものぞいている。  昼頃にロックハート城に到着。ここは大理石で造られた本物の城をスコットランドより移築したものである。国会議事堂もあと50年もすれば苔むして、いい感じになるのだろうか?展示品も年季の入ったものばかりで、ロックハート家はダイアナ妃とも関わりがあり、妃のゆかりの品々が数多く展示されていた。城には結婚式場があり、この日も挙式が行われていた。

 昼食を済ませ、高山温泉「いぶきの湯」へ向かう。田園風景の中にたたずみ、地元のご老人達の社交場と化していた。丁度昼食を済ませてお風呂につかりに来たという感じで盛況であった。ここの湯は黄色がかっており、かすかな臭いがする。ボイラー設備らしきものが見えたので、沸かしであろう。浴槽から湯が常に溢れており、取水口らしきものが見当たらなかったので多分循環ではないだろう。空いた頃を見計らってまた訪れたい温泉だ。ここで売られていた饅頭は美味しいらしく、帰りがけには売り切れていた。

 本日の宿である湯の小屋温泉へ向かう途中、水上豆腐工房に立ち寄る。ここで豆腐アイスなるものを食す。素材の味が生き、自然な風味が売りだ。後はひたすら利根川の源流を遡って行く。中土から小谷温泉へ行く途中の風景に似ているが、途中にスキー場があるせいか大きな集落があったりして、そんなに山奥という実感はない。

 目指す湯の小屋温泉「民宿たむら」は湯の小屋温泉の最奥部にあり、木の根沢温泉「龍洞」の向かい側の高台に位置していた。「龍洞」は別荘感覚で貸し切りのできる広大な露天風呂で有名な宿だ。「民宿たむら」のチェックインの際にちょっとしたトラブルがあった。一ヶ月以上前にネットで予約していたが、リコンファームを怠ったせいか予約自体を忘れられてしまっっていた。この宿はメディアに度々取り上げられており、風呂、料理とも格安料金で文句はなかったのだが、最初の印象で台無しになった感がある。救いはネットに造詣が深く、そちら関係の雑誌や本が多数置いてあったので夜更けまで読み漁ったことだ。この宿は自作HPを持ち、ネット予約した宿泊者の写真と感想を掲載している。後日メールでいろいろ苦言を呈したが、内容が内容だけに掲載されていない。

07/09
 台風一過で朝から気温はぐんぐん上昇している。天気予報では今日の群馬県地方の最高気温の予想はなんと35度だそうだ。昨日、おとといまで割と過ごしやすかっただけに、ちょっとうんざりする。チェックアウト寸前まで露天風呂につかり、英気を養う。帰り際には女将が不手際を重ね重ね詫びていた。個人的にはネットの勉強をさせてもらったこともあり期待している宿だ。

 本日の目玉である宝川温泉「汪泉閣」へ向かう。11時近くに到着し、早速有名な露天風呂へ向かう。たくさんの入浴客でごったがえしている。個人的にはこじんまりとした温泉が好みなので、人込みに圧倒される。気を取り直して、湯口に向かう。さすがに湯量が豊富で気持ちが良い。昔からの体のあちこちの古傷の部分に湯口からの新鮮な湯をかける。水着やバスタオルで体を隠さなければならないのでご婦人方は大変だ。やはり白骨や鶴の湯の様な白濁した湯でないと女性には混浴は辛かろう。ビールやジュースを持ちこみ、挙句の果てにタバコまで吸っている輩がいたのにはあきれると同時に幻滅した。白骨や鶴の湯では決してその様な事はなかった。ビールやジュースの自販機を風呂の近くに設置するのをやめてもらいたい。評価したいのは湯上りに冷たい水が自由に飲めるコーナーがあったことだ。

 水上方面へ戻る途中、日本の滝100選にも選ばれた「裏見の滝」に立ち寄る。滝の間近の祠で持参の携帯食料で昼食にする。やはり滝は夏に限る。さらに間近まで行ける所がなお良い。ここは滝の後ろ側をぐるりと潜り抜けることが出来る。天然のシャワーを浴び、森のパワーを得て、かなりリラックスできた。

 上毛高原駅よりほど近い「サイクルスポーツセンター」へ向かう。「みなかみの森」に立ち寄り、土産を買う。ここは道の駅的存在でなかなか重宝する。真沢温泉「美人の湯」の幟がしつこいくらい道端に立っている。変り種自転車、ゴーカートなど様々な乗り物を楽しんだ。特にサイドカー使用の自転車や4人乗り自転車などが面白かった。

 運動した後、くだんの「美人の湯」に立ち寄り、一日の疲れを癒す。出来て間もない公営の温泉施設で宿泊も出来る。入浴料500円を払い、中に入るとちょっとしたビジネスホテルの観がある。内湯は浴槽から湯が溢れていたのでもしや?と期待したが、循環であった。浴舎の前は棚田になっており、ここは田圃のレンタルをしているそうだ。上毛高原駅近くの酒屋で地酒を求め、新幹線でほろ酔い気分になった。
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